Image by iStock

3分で読める「意味がわかると怖い話」…ある人道弁護士、殺害の謎

高木敦史の「ショートミステリー」(5)

1話3分で読める、大人気のミステリーシリーズの最新刊『かくされた意味に気がつけるか? 3分間ミステリー 闇の中の真実』より、5日連続で中身を公開します。

偉人の死

以下はとある大手新聞に掲載された記事である。

〈猫山氏、殺害される〉

一昨日の未明、猫山友彦さんが自宅に押しかけた強盗により殺害された。猫山さんは島根県出身。大学卒業後は東京の大手弁護士事務所に所属。その後、自身でNPOを設立。多くの事件における被害者の救済活動を先導してきた。

被害者に常に寄り添い、犯罪の再発防止を強く訴え、死亡直前まで多数の支援者と共に世の不正を正していた。告別式は明日午後一時より、東京都○○会館にて。

Image by iStock
 

また、別の新聞にはこのような記事も掲載された。

〈猫山氏殺害の容疑者、黙秘を続ける〉

猫山さん殺害の容疑者男性は黙秘を続けている。男性は猫山さんの自宅の裏口から侵入し、帰宅直後の猫山さんをナイフでめった刺しにして逃走。付近の捜索に当たっていた警察により発見・逮捕されていた。警察は事件の動機解明に全力をあげている。

猫山氏の訃報に、多くの人が嘆き悲しみ、哀悼の意を表した。なぜあんないい人が。これからもっと活躍するはずだったのに。犯人が許せない──等々、巷でもその話題で持ちきりだった。あるコメンテーターはテレビで言った。

「猫山さんはナイフで何十箇所も刺されていたといいます。つまり犯人は猫山さんに対して強い恨みを持っていたのでしょう」

しかし、猫山さんは真面目な人だったし、テレビ番組で動物好きな一面なども取り上げられ、お茶の間にも人気が浸透していた。彼を悪く言う人など、誰もいなかった。

そんな人が、いったいどうして殺されてしまったのだろう?