アメリカでは巨大IT企業に対する風向きが変る?
アメリカでも、巨大IT企業に対する風当たりは強くなっていた。
トランプ大統領は、シリコンバレーのIT企業に対して敵対的な発言を繰り返してきた。また、H1Bピザ(技能のある人に対して特別に変えられる就労ビザ)に対しても制限的な政策をとってきた。
その半面で、ラストベルト地帯に鉄鋼業や自動車工業を戻すと公言してきた。つまり、新しい産業であるIT産業ではなく、古い産業である自動車産業や鉄鋼業を復活させようとしていたのだ。
これは、アメリカのIT産業の成長にとって潜在的な障害になる。
またGoogleやFacebookが独禁法違反で提訴されるなど、司法面からの攻撃もある(ただし、これがどれだけ政治的なものであるのかはわからない)。
一般国民もまた、巨大プラットフォームに対して警戒を強めている。
ところが、次期大統領にバイデン氏が選出されていたことによって、状況が変わる可能性がある。
バイデン政権の対巨大IT企業戦略がどのようなものであるかは、まだはっきりしない面があるが、副大統領に就任するハリス氏は、シリコンバレーと密接な関係があり、新しい技術開発がアメリカの経済力の源であることを理解しているだろう。
こうしたことを考えると、トランプ時代とは政策が大きく変わる可能性がある。
もしそのようなことになれば、中国における上述のような変化と合わせて、技術開発力のバランスは、これまでとは大きく変わる可能性がある。