巨大IT産業時代の終焉なのか―中国で重大な地殻変動が起きつつある

習近平のAlipay叩きが示す未来
野口 悠紀雄 プロフィール

共産党が予期していなかったIT産業の急成長

アリババやアントが急成長できたのは、これまで、それらの活動に対して規制があまり強くなかったからである。

もともと中国の改革開放政策は、鄧小平の「抓大放小(大をつかみ小を放つ=大企業は国家が掌握し、小企業は市場に任せる)」という方針によって行われてきた。

4大商業銀行(中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行)は「大」であると考えられたので、国有企業だった。現在は、民営化されたが、公的企業の色彩が強い。

それに対してeコマースは民間に任された。そして、自由な経済活動が認められた。あまり重要な産業とは思われなかったからだ。

ところがその後、インターネットの普及に伴って、eコマースが急成長し、そこで用いる通貨としてAliPayが作られた。それが一般の取引にも用いられるようになり、極めて多数の人がAliPayを使うようになったのだ。現在、その利用者数は10億人を超すと言われている。

 

AliPayの流通によって極めて詳細な取引データが得られる。アントはこれを用いて信用スコアリングを行っている。それを融資の判断に使うのだ。ここから得られる収益がアントを支えている。前述した巨大な企業価値は、これによって生み出されている。

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