ALS(筋萎縮性側索硬化症)を検索すると「感覚があるままに体が動かなくなる病気」という説明が多くなされています。もう少し詳しい書き方の記事では「筋肉が動かなくなってしまう」とも伝えられています。そして「現在、効果の認定されている治療法がない」と言われていることで知られています。ぼくがALS罹患告知されてから1年3カ月が過ぎ、足から始まったALSの進行が手に及んできています。それでも「声」と「呼吸」の進行を留めているのはなぜなのか。今回は理由のひとつと思われる自主トレーニングについて話していこうと思います。

2019年3月に歩きにくくなり、検査入院の結果、9月に難病ALSと告知された津久井教生さん。ニャンちゅうやちびまる子ちゃんの関口の声でも知られているが、罹患告知から歩行はできなくなり、手も動きにくくなったけれど、現在も声優の仕事は継続できている。その経緯については前回の連載でも執筆いただいたが、今回は声や呼吸を維持するために「発声のプロ」の津久井さんが行っていることをご紹介する。
2020年の「ニャンちゅう」チームの皆さん。左から比嘉久美子さん、津久井さん、鎮西寿々歌さん 写真提供/津久井教生
津久井教生さん「ALSと生きる」今までの連載はこちら

奇跡的と言われる「声」の維持について

罹患当初から「声だけ聴いているとALSとは思えない」と言われていました。それは当時すでに足が動かなくなり始めていた私にとって、嬉しい励ましの言葉でした。どんどんと動かなくなっていく下肢や上肢の状態から「いつ声に、呼吸に来るのだろう?」と本当に冷や冷やしていました。ALSと診断されるということは、いつか喋れなくなるという判定をされたわけですから。

たとえ車椅子になっても、喋れるのであれば何らかの発信のお仕事や制作の仕事をし続けたいと思っていました。一番先行きが見えにくい病気であるALSに罹患してしまってから思ったことは「とにかく声を残そう」なのでした。

罹患告知から1年3カ月、大変ありがたいことに病状の進行と反比例とまではいきませんが「声」が維持できていて、今も「声だけ聴いているとALSとは思えない」と言われます。ここ最近はリモートのお仕事も一般化してきて、システムの向上もありますので、例年通りの演出なども自宅からさせていただいています。

もしかしたら、たまたま私がALSの症状が声に出にくかったタイプだったのかもしれません。ただ、記録としてもいったい何をしたのが良かったのかを振り返っておきたいと思います。

トモダチTV朗読部、2020年1月の収録にて 写真提供/津久井教生