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検事総長懲戒、支持率低下でも文在寅の背中を押す韓国政治のある悲願

政治抗争か民主化過程の終着点か

支持率30%台へ

「文在寅政権がいよいよ危機に」。またぞろ日本のメディアに似たような言葉が並びはじめた。

今回のきっかけは11月末から顕著になった文在寅政権への支持率の低下である。韓国の主要世論調査会社の一つであるリアルメーターの調査によれば、任期2年目の2018年11月にはじめて50%を割り込んだ文在寅の支持率は、その後大きな落ち込みを見せる事は無く、10月まで40%台半ばの水準を維持してきた。

2020年春には、新型コロナウィルス流行の第一波への対処の成功を好感する世論により、支持率は寧ろ大きく上昇し、一時期は政権4年目においては異例の60%台にも達する事になっている。

この様な文在寅の支持率は、大統領就任からの同時期比較で1987年の民主化以降、最高水準を維持してきた。

背景には、アメリカ同様、保守と進歩の左右両派に大きく二分された韓国社会のイデオロギー状況が存在し、結果として、保守から進歩、あるいは進歩から保守への支持の移動が困難になっている。この様に構築された保守、進歩両派の支持基盤は時に「岩盤支持層」という名で呼ばれ、今日の韓国政治をかつてと大きく分ける特徴の一つとなっている。

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45%を前後する水準で推移したこの2年間の文在寅の支持率は、この様な彼の「岩盤支持層」の典型的な表れの一つであり、だからこそこの支持率が今年11月末以降、30%台後半にまで低下した事は大きな変化だと言える。

韓国の世論調査会社の分析によれば、その要因はこの時期に顕在化した二つの現象である。すなわち、一つは新型コロナウィルスの再度の拡散であり、もう一つは、文在寅政権の「悲願」とも言う事ができる検察改革を巡る混乱である。

とはいえ、我が国をはじめとする北半球の多くの国の状況を見れば明らかな様に、今日における新型コロナウィルスの再度の拡散の原因を、文在寅政権の何かしらの政策に見出す事は難しい。

 

これに対して、検察改革を巡る状況は明らかに文在寅政権の施策の結果であり、だからこそ何故にこの政権が残り任期が1年半を切ったこの時期、、支持率低下を齎す悪影響を及ぼすこの改革に、あえて取り組んでいるのかが問題になる。