VFTS 352 の想像図(Credit: ESO/L. Calçada)

ひょうたん形につながった星、星の中を公転する星、想像を絶する「連星」のユニークな姿

こんな天体があったとは!?

これが星なの!?

何はともあれ、図をご覧ください。これは、 ひょうたんやボーリングのピンではありません。雪だるまでもないですよ。じつはこれ、大マゼラン銀河の中にある「VFTS 352」という連星の想像図なのです。こんなユーモラスな姿の「星」があるのです。

【画像】VFTS 352 の想像図VFTS 352 の想像図(Credit: ESO/L. Calçada)

 2つの星が非常に近い連星を近接連星といいます。これは2つの星があまりに近すぎたことに加えて、「ある理由」によってくっついてしまった姿です。「ひょうたん星」とでもいいましょうか。

変わっているのは、その姿だけではありません。このような「ひょうたん星」の中には、かなり激しい性格をしているものもあるので、生き物はあまり近寄らないほうがいいかもしれません。でもそれが好奇心をそそり、連星の研究者は間近でじっくりと見てみたくなるのですが―。

この記事では、このようなユニークな連星を紹介していきましょう。

2つの星がくっついてしまった連星がある! 

先ほど紹介した「ひょうたん星」は、正式な名前を「過剰接触連星」 (または「超接触連星」 )といいます。じつは、2つの星はもともとくっついていたわけではありません。くっついた理由は、星の進化による「老化」にあります。

近接連星には「ある決められたサイズ以上にはなれない」という特別ルールがあります。そのため、一方の星の進化が進んで老齢期に入るとどんどん膨れてきて、サイズの上限に達してしまい、膨らんだ星からもう一方の星へガスが流れ出すという現象が起こります。これが質量移動です。

では、ガスをもらう星のほうは、無制限にガスを受け取れるのでしょうか?そうではありません。ガスをもらう星にもやはりサイズ制限があり、どんどんガスをもらい続ければ、やがてはサイズの上限に達してしまいます。このとき、2つの星はお互いの表面の1ヵ所でくっついた状態になるのです。ちょうど無限の記号である「∞」のような形状です。これを「接触連星」といいます。

このあと、さらに星の進化が進むと、今度は両星ともに、もっと大きくなることができます。 星どうしが接触すると、サイズ制限がいったん解除されてしまうのです。そのために2つの星は当初のサイズ制限を超えて膨らんでいき、星どうしが接している部分も増えて、不思議なことに過剰接触連星となります。こうして「ひょうたん星」が完成するのです。

ところで、このひょうたん星は「1つの星」と数えるのでしょうか、それとも「2つの星」なのでしょうか。答えは「2つの星」です。接触しているので1つの天体のようにも見えますが、 じつは星のほとんどの質量はそれぞれのコア付近に集中しています。ですから、やはり星としては2つあると考えます。

言い方を変えると、過剰接触連星とは質量が集中している2つの星の中心部のまわりを、両星に共通するガスが包んでいるものであるということになります。星の内部構造のうち、表面に近い部分を「外層」といいますが、過剰接触連星のこのような部分は「共通外層」と呼びます。ひょうたん星は、2つの星が共通外層で取り囲まれているのです。