はやぶさ2には、地球を防衛する「裏ミッション」が存在した

知られざる兄弟機構想も
NHK小惑星リュウグウ着陸取材班 プロフィール

はやぶさ2長男・次男構想が存在した

スペースガードとはやぶさ2の成果を紹介したが、実は、はやぶさ2にはさらにもうひとつ、幻の知られざる構想があった。スペースガードを表のテーマのひとつに据えるものだ。なんと、はやぶさ2と同時に、もう1機、別の探査機を打ち上げようという構想があったのだ。

先にリュウグウに到着した1機が科学的な観測を行う。観測が終わったころに、もう1機がやってきて、今度はリュウグウに衝突するのだ。この衝突によってリュウグウの軌道を変えることができるか調べようというのだ。つまり、小惑星の衝突を回避する方法を真面目に構想していたのだ。

予算が獲得できず、このミッションは実現しなかった。しかし、その分、という訳ではないが、はやぶさ2は、まだまだスペースガードへの貢献を続けてくれる予定だ。

先にも触れたが、はやぶさ2はカプセルを分離したあと、再び地球を離れ、別の小惑星「1998KY26」に向かう。この小惑星は直径が約30mとリュウグウに比べてかなり小さい。30〜40mクラスの小惑星が地球に衝突する頻度は100年から200年に一度とする研究もある。

1908年にシベリアで起きた「ツングースカ大爆発」は隕石の落下がシベリアだったため人的な被害は確認されなかったが、およそ2000km2もの森林がなぎ倒されるなど壊滅的な被害をもたらした。直径約60mの小惑星が衝突したとされている。

こうした数十m規模の小惑星はイトカワやリュウグウのように多数の岩が集まってできた「ラブルパイル天体」ではなく、一枚岩の可能性があるなど物理的な性質に違いがある。だが、小さいが故に地上からの観測では限界があり、性質はほとんどわかっていない。はやぶさ2が接近し、観測を行うことで、初めて素性が明らかにされる。

はやぶさ2の成功により、私たちは、隕石から命を守る手段や情報を手に入れることができた。もしかすると、今回のミッションで得られた宇宙探査技術で、私たちの人類の未来が守られるかもしれないのだ。

【写真】再び旅立つはやぶさ2から見た地球再び旅立つ「はやぶさ2」。再接近から4時間後、地球を振り返る Photo JAXA/産総研/東京大/高知大/立教大/名古屋大/千葉工大/明治大/会津大

密着取材・地球帰還までの2195日
ドキュメント「はやぶさ2」の大冒険

【書影】ドキュメント「はやぶさ2」の大冒険

辿り着いた小惑星は岩石だらけの「怪物」だった!
6年におよぶ密着取材で、手に汗握る着陸ミッションの舞台裏を描き出す。特別篇では、ジャーナリストの池上彰氏と原晋 青山学院大学陸上競技部監督が、はやぶさ2を成功に導いた、3つの「勝利の方程式」を分析する。

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