在籍したまま別会社へ。「雇用シェア」でこれからの働き方が変わる

社員として会社に在籍しながら別の会社に出向して仕事をする、いわゆる「雇用シェア」を支援する制度を政府が創設することになりました。新型コロナウイルスの感染拡大によって、人が余る業種と足りない業種の差が鮮明になっており、すでに多くの企業で、雇用シェアの試みが行われています。今後は、同じ会社にいながら、別の職場で働くというスタイルも珍しいことではなくなるでしょう。

緊急事態宣言の影響を受け、早朝から長蛇の列ができるハローワーク品川(写真は2020年5月)。 写真:アフロ


今回のコロナ危機では、外食や航空、宿泊といった業界が特に大きな打撃を受け、そこで働く従業員には仕事がないという状況が続いています。一方で、IT業界や宅配業界、小売業界の一部では、巣ごもり消費の拡大を受けて業績が拡大しており人手不足が深刻になっています。

 

米国ではコロナ危機が発生した直後から、人手が余っている会社の従業員を足りない業界に出向させる取り組みが行われており、これは「雇用シェア」と呼ばれています。日本でも同じような取り組みが検討されており、大量の地上職員や客室乗務員を抱えるANAやJALといった航空会社は、家電量販店などに社員を出向させる方針です。

しかしながら、グループではない企業に従業員を出向させるというのは簡単なことではありません。出向元と出向先は違う業種となりますから、双方の賃金体系はバラバラです。また労働契約の内容にも大きな違いがあるでしょう。

グループ外への出向をスムーズに実施するためには、出向元も出向先もそれなりの体制が必要でした。そうなってくると、雇用シェアの実現は、体力のある大手が中心とならざるを得ません。

政府の助成金の中には、出向に対して補助する仕組みがすでに存在していますが、対象となっているのは出向元の企業のみで、金額も一般的な休業支援と比較して安く設定されています。このため多くの企業が休業支援策の利用にとどまっており、より積極的に出向を選択するまでには至っていない状況です。

今回、計画されている助成金は、出向元に加えて出向先についても補助が行われるので、企業側のハードルは低くなると考えられます。具体的な金額はまだ検討中とのことですが、コロナ危機に伴う雇用の問題を解決する有力な手段のひとつとなるのは間違いないでしょう。
 

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