米中対立が先鋭化する中、自由の国アメリカより、隠蔽もコロナ制圧も一党独裁の中国が勝っていた。資本主義、民主主義社会が、強権独裁体制に敗れた面があるのは現状では否定できない。ポストコロナに向け、コロナを「制圧」しいち早く経済活動を再開し、世界の主要国のなかで唯一プラス成長を続ける中国が、このまま世界の主導権を握る可能性もある。ドル体制への挑戦として、中国人民銀行によるデジタル人民元の発行がその先鋭となろう。
または、コロナ隠匿に端を発した米中対立が沸点に達し、米国など先進国によってサプライチェーンや国際機関から中国を締め出し、中国が排除された世界の構築を目指す動きが、この先より活発化する可能性も十分にある。
いずれにせよ、現時点で確かなことは2つ。
足元は確かに、日本、米国、EUといった主要国の中央銀行への信任を背景に、金融緩和政策と財政政策が続き、金融危機や企業倒産、失業を起こさないという当局の強いコミットメントが効いている。米国の実質GDPが40%減少しようが、格付けがジャンクになろうが、政府・中央銀行による「救う」という意思表示、世界の投資家と国民の信任が続く限り、日米など世界の表向きの安泰は続くことになろう。