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菅首相の理念「自助、共助、公助」は早くも崩壊? 結局、コロナ禍でも「自助」頼みという現実

鷲尾 香一 プロフィール

高齢化社会で失われる「共助」

仮に自助が自分や個人を指すとすれば、共助は近所や地域社会を対象とするものになる。しかし、現代社会ではこの近所や地域社会による共助は、大きく縮小している。

核家族化や近所、地域との関わりが乏しい現代において、共助の役割を果たしているのは企業や職場だろう。

高齢化社会の進行は、共助の役割を果たしている企業や職場から卒業する高齢者の大幅な増加につながり、近所や地域社会を対象とした共助の再構築を難しくしている。表1のように一人世帯は1490万7000世帯に上り、このうち高齢者の一人世帯は736万9000世帯(49.4%)にもなっている。

そんな「共助の再構築」に突然出てきたのが「社会的処方」だ。

2020年7月の政府の骨太方針(経済財政運営と改革の基本方針2020)に「『新たな日常』を支える包摂的な社会の実現」として「かかりつけ医等が患者の社会生活面の課題にも目を向け、地域社会における様々な支援へとつなげる取組についてモデル事業を実施する」ことが盛り込まれた。

これがいわゆる「社会的処方」と呼ばれる取り組みだ。

この社会的処方は、英国などで実施されているもので、医師が薬の代わりに患者団体といったコミュニティなどを紹介することで、生き甲斐や社会参加の機会などを持ってもらう方法。

 

2019 年11月に発足した自民党の「明るい社会保障改革推進議員連盟」が検討を進めていた「明るい社会保障改革」の報告書が2020年6月に出され、この中に「『社会的処方』の推進に向け、かかりつけ医が本人(家族)の社会的状況を確認し、医療保険者や行政機関等の地域社会の資源を活用した健康面と社会生活面の支援につなげていく取組みを推進すべきである」と盛り込まれたことで、政府内での議論に“火が付いた”。

2021 年 4 月から介護報酬改定を議論している厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会では、検討事項に関連して社会的処方の取り組み推進が盛り込まれた。

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