写真提供:おあいけあ

世界が驚いた! 「あおいけあ」が覆した介護の常識

「お世話」が不要になる不思議な施設

「老人にはお世話が必要」「認知症になったら人生終わり」「弱ったお年寄はもう回復しない」……それが当たり前だと思っている人は多いだろう。そんな“常識”を覆し、国際的 な注目を集めている介護施設が、神奈川県にあった。世界を驚かせたそのケアの一端を、介護現場を取材して10年になる編集部員がレポートする。

新聞・雑誌などのメディアがほとんど報じなかった「成果」

北海道から九州まで、各地で評判の介護施設・事業所はいくつも見てきたが、初めて「オレが住みたい!」と思った介護事業所は、神奈川県藤沢市にあった。それが「あおいけあ」だ。

あおいけあ」は、グループホームと呼ばれる施設サービスと、泊り・通い・在宅の3つの介護を一手に引き受ける「小規模多機能型居宅介護」と呼ばれる2つの介護サービスを展開している。地元密着型の"介護屋"を自任し、全国的なサービス展開などしていないのだが、実はすでに国際的に有名な事業所なのである。

【写真】あおいけあ施設外観「あおいけあ」の施設。左は、グループホームの「結(ゆい)」、右は「小規模多機能型居宅介護」の建物で「おとなりさん(上)」「おたがいさん(下)」と名付けられている

新聞・雑誌にくり返し取り上げられ、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」でも紹介されて話題になった。代表の加藤忠相(かとう・ただすけ)さんは2016年、「日経ビジネス」誌上で「次代を創る100人」のひとりに選ばれている。

【写真】加藤忠相さん「あおいけあ」代表の加藤忠相さん(撮影:川上哲也)

2019年にはアジア・太平洋地域の高齢者ケア分野で影響力のある事業所として「Aging Asia Global Ageing Influencer」に選出され、台湾、フランス、スイス、オランダなど、海外からも取材・見学に来る人がいるという(さすがに現在はコロナ禍で、ひところのように殺到はしなくなったようだが……)。

このように、いろいろな機会に報道されているわけだが、個人的な感想を言わせてもらうと、私はどの記事にも不満が残る。

 

「介護」というと、メディアはどうしても、「不幸だったお年寄りが救われた」式の美談ばかりを流しがちだ。もちろん、「あおいけあ」でもそのようなエピソードには事欠かない。

しかし、それがすべてではないのだ。ケアの"成果"は、加藤さんの講演や内輪の事例発表会で公開されるだけで、ほとんど報道されなかった。本稿では、そのような「あおいけあ」の知られざる側面をちょっとだけ紹介してみたい。