『鬼滅の刃』の竈門禰豆子は、なぜ〈竹〉をくわえているのか?

歴史的大ヒット作の知っておきたい一面
畑中 章宏 プロフィール

“かぐや姫”と禰豆子

竹の茎(稈。かん)には空洞がある。『竹取物語』のかぐや姫から想像できるように、この空洞は物が籠り、新しい霊魂を身につけて新生する空間で、胎児を宿す子宮のイメージでとらえられている。

竹取の翁は文字どおり竹を取り、竹細工を生業にしている。竹細工に携わる人々は、田や畠を持たない貧しい階層に位置し、律令制仕会における「公民」ではなかったと考えられる。

竹細工と川漁獲りを生業とする集団に、「山窩(さんか)」と呼ばれる人々がいた。彼らは里に降りてきて、作った「箕」(穀物をふるって、殻やごみをふり分ける農具)を米などと交換して生活していた。そこから彼らは「箕作り」などとも呼ばれた。

竹皮を用いた「雪踏(せった)」は、竹皮草履の裏に牛皮を張った履物である。雪踏は近世被差別部落の伝統産業で、わび茶を完成させた千利休の考案だと伝えられている。

 

鬼化した禰豆子を太陽の光から守るため、炭治郎は農家から譲り受けた籠を、竹で補修する。その慣れた手業には、ふだんから竹細工の心得があることがみてとれる(なお炭治郎が禰豆子を入れて背負う籠は、原作の2巻目で“雲切杉”を材に“岩漆”を塗った木箱に替わる)。また、炭治郎と竈門禰豆子の弟で、次男にあたる男の子の名前は「竹雄」だった。

関連記事

おすすめの記事