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# 日本経済

40兆円…「哲学なき財政支出」を決めた菅政権が巡らせている「本当の思惑」

肝心の拡大防止にはわずか5.9兆円

コロナ感染予防対策はわずか5.9兆円…?

菅義偉内閣は先週火曜日(12月8日)の臨時閣議で、今年度3回目となる経済対策を決定した。今回は、対策に含まれる財政支出が40兆円と、4月と5月に続いて、また巨大なおカネを投入するのが特色で、政府は「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」という名前を冠している。

新型コロナウイルスの感染拡大は深刻だ。全国の1日の新規感染者数は今週土曜日(12日)、初めて3000人を超えた。重症者や死亡者も多い。北海道や大阪をはじめ各地で医療体制の崩壊を防ぐだけでなく、自粛を要請されている飲食店への補償や暮らしの危機に瀕する人々への支援で、潤沢な公的資金が必要なことは明らかである。

海外ではワクチンの接種テストが徐々に始まっているが…/photo by gettyimages
 

しかし、そうした危機を割り引いても、今回の経済対策には、目的を逸脱していると批判があった過去の対策以上に、首を傾げざるを得ない問題がある。その一つは、緊急性が高いはずのコロナ危機関連の財政支出が5.9兆円しか計上されていないことだ。

この少なさは、今回の経済対策のもうひとつの柱である「経済構造の転換」の18.4兆円の3分の1以下と大きく見劣りする。さらに、今年度の過去2度の補正予算であわせて11.5兆円を計上した予備費がまだ7兆円残っているとされ、当面のコロナ対策を実施しても1.1兆円程度の余裕があったはずなのに、「コロナ対策」と称してまた財政出動するのだ。

つまり、菅内閣は、事実上、国民に「不要不急の外出の自粛」を強いる状況を放置しながら、政府自らは「不要不急の財政支出」を目論んでいるのだ。今週は、この「不要不急の財政支出」の背景と弊害を検証しておきたい。

はじめにお断りしておくが、新型コロナウイルス感染症危機の下での経済対策の必要性には筆者も異存はない。コロナ対策に巨額の政府支出で立ち向かうことは世界的な潮流になっている。

実際、国際通貨基金(IMF)は10月に公表したレポートで、コロナ対策の結果、国内総生産(GDP)比で見た先進国の政府債務が今年(2020年)は126%と、昨年から20ポイントあまり上昇すると予測した。

この水準は、大恐慌(1933年)時の80%、リーマン・ショック直後(2009年)の89%はおろか、第2次世界大戦直後(1946年)の124%も上回り、過去最高レベルという。

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