「叩き売り」のウラでいま起きていること photo/iStock

アパレル業界の「価格」がおかしい…!「値引き」のウラで広がる“二重価格商法”

消費者の信頼を失うことになりかねない

アパレルは慢性的な過剰供給にコロナ禍の販売不振が加わって叩き売り状態に陥っているが、たとえコロナが収束しても消費者の脳裏から「叩き売り」の記憶は消えず、「正価」への不信感を長く引きずることになる。

コロナ以前からアパレルの「正価」は実勢価格と大きく乖離して、過半どころかブランドによっては大半が値引き価格で販売される「二重価格商法」が実態となっていた。こんなことを続けていては「正価」は値引き販売のための「偽装価格」と成り果て、顧客に「有利誤認」を誘う詐欺商法と見なされかねない――。そう警鐘を鳴らすのはアパレル流通に詳しい(株)小島ファッションマーケティング代表の小島健輔氏だ。

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実勢価格と乖離した「正価」

コロナ禍の販売不振でアパレルは店頭でもECでも値引き販売が常態化し、実需期でも動きの鈍い商品は2〜3割引は当たり前で、期末のセールともなれば4〜5割引となり、持ち越し品を6〜8割引で叩き売るブランドさえ散見される惨状だが、ここまで値引き販売が常態化した要因は過剰供給と販売不振だけではない。

ブランドが設定する「正価」そのものが実勢価格と大きく乖離していることが根本的な要因と思われる。

百貨店ブランドなど、百貨店の法外な「歩率」(賃料に相当する手数料)と販売人件費だけで売上の半分を占め、値引きや売れ残りのロスを積み上げると「正価」は調達原価の5倍以上にもなる。

主要百貨店の大半に出店しているメジャーなNB(ナショナルブランド)でも1型あたり生産ロットは数千点、大ヒット品番でも2〜3万点止まりで「ユニクロ」とは二桁も違うから、生産コストも格段に割高になる。同じ品質なら百貨店ブランドの価格は「ユニクロ」の三倍になってしまうのが現実で、実勢価格から乖離した「正価」が通るはずもない。