外資にあって日本資本にないものとは? ニセコが世界リゾートに躍進するワケ

なぜニセコだけが世界リゾートになったのか(4)
高橋 克英 プロフィール

ビジネスライクなのはどちらか

こうしてバブル期に東急グループや西武グループなど日本企業によって作られたニセコの礎は、バブル崩壊後、豪州や米国資本の手を経て、今は香港、シンガポール、マレーシアなどアジアの財閥グループなどによって、更なる大規模開発が続くに至っている。

地元への還元という意味では、「外国資本」も「日本資本」もあまり変わらないのかもしれない。むしろ海外資本のほうが、景観など自然環境や地元還元、ダイバーシティに理解があったりする。概してビジネスライクで、合理的ではあるが、ロジカルであったりもする。長期的関係を重視する姿勢もニセコにおける開発計画にはみられる。

ニセコの歴史を振り返ってみる限り、日本資本のほうが短期的でビジネスライクだったといえるのかもしれない。以前の日系ホテルのレストランでは、ニセコ産以外の食材を使う傾向があったが、外資系ホテルに代わってからは地元食材を使ってくれるようになったという。

下記の図表にあるように、日本勢を含め、さまざまな国からの投資と開発が相次ぐニセコ。多国籍の5つのスキーリゾートは、まさに、多様化が進んだニセコを象徴しており、コロナ禍下にもかかわらず、最先端の国際リゾート地として発展しているのだ。

 

ここまでお読みになって、国内の投資と外資の投資の違いに気づかれただろうか。日本全国の観光地がインバウンドに平伏し、一般向けの「ゆるキャラ」やB級グルメを売り出すことから富裕層の嗜好に合わせた対応まで幕の内弁当的な全方位政策をとるなか、ニセコにおける外資の投資は、パウダースノーという絶対的なキラーコンテンツを最大限に生かし、「海外」「富裕層」「スキー」に絞った「選択と集中」を実践してきた。

外資系のほうが長期的かつ集中投資であり、日系企業のほうが短中期的かつ逐次投資ともいえる。そう、太平洋戦争におけるガダルカナル島での敗戦が象徴するように、あの時以来、日本の企業や組織における行動様式は、いまだに大きく変わっていないのかもしれない。

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