タダほど高いものはない?ネットサービス無料の「気持ち悪い」カラクリ

プライバシーが差し出されている!?
宇田川 敦史 プロフィール

「気持ち悪さ」を忘れてはいけない

では、私たちの「気持ち悪さ」は仕方のないことだろうか。確かに、Googleのようなプラットフォームを使うことを止めることは現実的でないかもしれない。もしかしたら、当初感じていた「気持ち悪さ」ももう慣れて平気になっている人も多いかもしれない。

 

この問題に明確な解を提示することは難しいが、2つの基本的な方向性を示しておきたい。ひとつは、データベースやアルゴリズムの透明性を徹底的に高めることだ。すなわち、プラットフォームがどのようなデータを蓄積するか明確にし、そのデータをユーザー自身が管理できるようにすることだ。

実際GoogleやFacebookは、これらの批判に対応してユーザー情報を可視化し、一部のデータは削除や管理ができるツールを整備しはじめている。重要なのは私たち自身がインフラ化したプラットフォームの仕組みに目を向け、「気持ち悪さ」を放置してあきらめてしまわないことだ。

たとえば、ディスプレイネットワークの広告には小さなiマークアイコンがあり、その広告の表示理由や広告主の情報を調べたり、その広告の表示を拒否したりすることができるし、Googleなどのアカウントページに行けば、自分の情報がどのように広告に結びつけられているかを調べることもできる。

現代新書Webに表示された商品広告(画面右側)。右上のiマークをクリックすると、「Ads by Google」と表記され実はGoogleの広告枠であることがわかる。この部分をクリックすると広告の表示を拒否したり、広告への意見を送信できるようになっている。

筆者のGoogleアカウントページで開示されている「興味/関心」。自分の属性や趣向が「推定」され、広告配信の対象となっていることがわかる。ログインすれば誰でも確認可能になっており、望まない項目は削除することもできる。

もうひとつの方向性は、経済原理を変えることだ。Googleフォトが、ユーザー課金になったことはある意味歓迎すべきことなのかもしれない。広告主ではなく、ユーザー自身が利用料を負担することで、ユーザーの利益とプラットフォームの利益が一致するようになれば、「気持ち悪さ」は解消すべき課題となりうる。さらにより公共的なアクセス機会の均等が求められるサービスには、すでに欧米で議論が活発化しているように、法制度によるデータの保護規制や、非営利での共同的なプラットフォーム運営などの社会的な取り組みが検討されるべきだろう。

たとえば、ウィキペディアは非営利団体である「ウィキメディア財団」がユーザーからの寄付によって広告なしでの運営を継続している。また、民泊プラットフォームのFairBnBは、物件オーナーや地域住民がプラットフォームを共同所有するプラットフォーム協同組合主義」  によって運営される。

これらの対策には限界はあるし、ユーザーによるデータ管理など、ひとつひとつは面倒くさいことかもしれない。しかし、Googleが蓄積し結びつけているサブジェクトとオブジェクトという2種類のデータは、このままいけばいずれもオブジェクトへと変換されていくのみである。つまり、私たちはプラットフォームを利用する主体=サブジェクトではなく、プラットフォームに利用される対象物=オブジェクトになってしまうかもしれない。私たちユーザーが自らその主体性を放棄しないためにこそ、「気持ち悪さ」に決して慣れてしまってはいけないのではないだろうか。

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