タダほど高いものはない?ネットサービス無料の「気持ち悪い」カラクリ

プライバシーが差し出されている!?
宇田川 敦史 プロフィール

キーワードにもよるが、実際にGoogleで検索をしてみると「広告」と小さなラベルがついたリンクがいくつか出てくるはずだ。筆者は、マーケティング調査の一環としてユーザーの行動観察やインタビューを行うことがあるが、多くのユーザーは検索結果ランキングを上から順に見ていく習性があり、それが広告かどうかは気づいていないか、気にしていないことも多い

「広告」がリストされた「やせる方法」のGoogle検索結果(2020年12月8日取得)

SISTRIXの調査によれば、通常の検索結果ランキングでは上位ほどクリック率が高く、1位と2位ではクリック率が半分近くに、2ページ目まで行くユーザーは1%にも満たないという。

検索連動型広告は通常の検索結果よりも上に表示されるため、検索結果ランキングの実質的な最上位は(「広告」というラベルがつくとはいえ)オークションで競り落とすことができてしまう。そして多くのユーザーがそれをクリックすることによって、Googleに広告料収益がもたらされるのだ。

Google検索結果ランキングごとのクリック率(出所:SISTRIX

Googleの外部に侵食する「ディスプレイネットワーク」

Googleのもうひとつの広告、「ディスプレイネットワーク」の仕組みは少々複雑だ。検索連動型広告は、Googleのサービスを利用している最中に表示される広告だが、ディスプレイネットワークは主にGoogle以外のWebサイトに設置された広告枠に、Googleが表示する広告だ。

先述のように、通販Webサイトや、SNSなどでちょっと気になってクリックした商品が、別のWebサイトに広告として表示されるという経験は多くの人がしているのではないだろうか。これは、広告主のWebサイトと広告枠掲載先のWebサイトの双方で、「Cookie(クッキー)」というブラウザー識別の仕組みを共通化することで実現している。

Cookieによる識別は、近年ヨーロッパで導入されたGDPRと呼ばれるプライバシー保護の規制によって明示的に「同意」を求められるWebサイトが増えたため、意識をしている方も多いだろう。Cookieの利用に「同意」することで、ログイン状態の維持など利便性の向上と同時に、行動履歴の収集や広告のパーソナライズにも「同意」していることになる。

Googleは、この共通化Cookieを利用した広告プラットフォームとしても世界最大なのだ

追いかけてくる広告の「気持ち悪さ」

先ほどの例で考えてみよう。あるユーザーが検索エンジンで「やせる方法」と検索し、そこに表示された健康食品会社B社のリンクをクリックしてB社の健康食品のページを閲覧したとする。Googleと提携したB社のWebサイトでは、そのユーザーが商品を見たという行動履歴をGoogleのCookieで送信する。次に、そのユーザーがGoogleの広告枠を設置した全く別のWebサイトを訪問すると、GoogleのCookieを介してそのユーザーが以前B社の商品を見たことが識別され、B社の広告が表示される。

ユーザーは直接Googleに訪問しているわけでもないのに、GoogleのCookieを使った広告を見せられているのだ。そしてユーザーが広告をクリックすれば、クリック数に応じた広告料がB社に請求される。この広告料もオークション方式で決まるものだ。つまり、ここでは、ユーザーの行動履歴自体が競りにかけられているのだ。

Google 広告」で紹介されているディスプレイネットワーク広告のイメージ図。
左の画面で閲覧した航空券の情報が、ユーザーを追いかけて他のさまざまなWebサイトで広告表示される。

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