鶏卵生産・販売大手「アキタフーズ」(広島県福山市)グループの前代表が自民党衆院議員の吉川貴盛元農林水産相に現金数百万円を提供していた疑いがあり、東京地検特捜部が捜査中だ。
私は11月に「日本人が知らない『卵』のアブない現実…世界と『決定的な差』があった」で、農水省と鶏卵業界が動物のストレスを減らす飼育方法を目指すアニマルウェルフェア(AW)の国際基準の厳格化に強硬に反対してきた経緯を書いたが、この背景に業者から元農水相へ現金提供があったという疑惑に衝撃を受けている。
吉川議員は2018年10月から19年9月まで、安倍政権下で農水相を務めた。
鶏卵をめぐっては、国際獣疫事務局(OIE)が18年9月、鶏がぎゅうぎゅう詰めにされる従来型(バタリー)ケージ飼いを改善するためのコード(基準)2次案を提示した。産卵用の巣箱、止まり木などを義務付ける内容だった。
ケージ飼いが94%を占める日本の鶏卵業界はこの案に猛反発した。一般社団法人日本養鶏協会(東京都中央区)は同案が採択されると、「日本の養鶏業者に大きな打撃を与えることになる。国内の95%以上の採卵養鶏場は従来型ケージ飼養で、巣箱や止まり木の設置は現実的に不可避」などと主張。採卵鶏の飼育方法にも大きな影響を与えかねないとして、12月に吉川農水相に要望書を出した。