オートクチュール、セミオーダーをメインとし2004年にスタートしたMIKAKO NAKAMURA。“無駄を出さない”、“捨てる服はもういらない”といった「less is more」の精神で、シンプルでミニマルなデザインをベースにした、着る人が主役となる服づくりを続けています。アナウンサーや管理職の女性を中心に支持が広がり、女性のためのオーダーメイドブランドとして地位を築いたMIKAKO NAKAMURAについておふたりにお話ししていただきます。
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唯一無二。どこに行っても大切に扱われる服
———ブランドを立ち上げた2004年は新しさを追求してこそファッション、という姿勢が主流の時代。「オーダー客はすごくコンサバだから、ファッション性はそこまで求めていない」と否定的な声も多く、オーダーをメインとしたビジネススタイルは異色の存在としてなかなか受け入れられなかったそうです。ですが、いまでは固定ファンをはじめ、女性がオーダーの魅力に目覚めるきっかけを作るブランドとして、多くの女性に支持されています。
中野 MIKAKO NAKAMURAは贅沢な素材を一から作っているので、そもそも素材が上質であるということが大前提にあります。そのうえで、デザインがシンプルなので、毎年アイテムを一つずつ加え、組み合わせてもきちんとコーディネートできるようになっている。長いスパンでみたときにアイテムをコレクションしていけるように作っているという発想がまるで紳士服のよう。デザインも素材としても劣化がないということは、そこまで考えているからだと思います。
森岡 女性のオーダー服市場は男性に比べるとまだまだ小さい規模。その理由の一つとして、たとえばスーツは1cm単位の差がシルエットに現れますが、女性ならではの、ゆったりとしたデザインの服は、多少丈が合わなかったとしても柔らかな布でカバーされ、意外とサイズ感を細かく気にしなくて雰囲気で魅了できる服が多いんです。そういう中においてここのブランドが成功したのは、1cmの世界をしっかりと考えてきたからなのだと感じますね。さらに、デザイン自体はトレンドというよりはオーセンティックなもの。だからこそ、ワードローブを少しずつ増やしていけるという利点がある。シーズンを超えても、安定してスタイルが作れるということはとても大きいですね。だからこそ安心できるし信頼できる。そして、その人自身の品格が担保できる服だと感じました。
中野 MIKAKO NAKAMURA の服は、コートを脱ぎクロークに預けた時に大事に扱ってもらえるように考える、ということで縫い目などの裏側の扱いが丁寧に作られています。そこをデザイナーも強く意識しているそうで、大切に扱われる服であり、大切に扱われ慣れている人が着る服だと思いました。たとえば、ブランドを代表するタイトスカートにはスリットがありません。ダーツだけで足さばきが出来るようになっていて、それはつまり軽くあしらわれない服、セクハラを受けない服だと思います。大切に扱われ慣れている人が安心して着られる服ですね。
森岡 男性からすると、そういった服を着ている方の隣に立つ以上、しっかりしないといけないなと背筋が伸びます。そういう意味では周りにも影響を与える服だと思います。
——自分自身が引き上げられる服であることに加え、男性の品格、社会全体の品格も上げることに繋がっていくのですね。
中野 只者ではない感が素材から伝わるので、おそらくどこに行ってもこれを着ていると大事にされるのだと思います。