1950年代後半から1990年代にヴォーグ誌などを中心に活躍し、20世紀で最も偉大な写真家のひとりと称されるヘルムート・ニュートン。女性のヌードをはじめ、官能性が盛り込まれた彼の作品は何十年にもわたり物議を醸してきた。

ヘルムート・ニュートン。モンテカルロの自宅にて(1987年)/(c) Foto Alice Springs, Helmut Newton Estate Courtesy Helmut Newton

女性を“性的モノ化”しているのか、それとも、自分の肉体とセクシュアリティを完全にコントロールした“強い女性”を写しているのかーーいまだに意見が分かれているのだ。

その答えに迫るドキュメンタリーヘルムート・ニュートンと12人の女たちが12月11日より公開。メガホンをとったのはドイツ人のゲロ・フォン・ベーム監督だ。1997年に共通の友人を介してニュートン夫妻と知り合った監督は、映画化をしぶる夫妻を説き伏せて、2001年にTV用のドキュメンタリーを制作。その後、ニュートンの生誕100周年である今年の公開に向け、今度は女性の視点でニュートンの写真を読み解こうと本作を制作したという。

フォン・ベーム監督に、なぜ女性の視点からニュートンの作品を捉え直そうとしたのか、そしてその結果、監督が得た答えについて聞いた。

12人の女性の証言から読み解く

2004年に83歳で亡くなったヘルムート・ニュートンは、その長い写真家人生の中で、ファッション写真だけでなく有名人のポートレートも数多く残している。彼の写真のモデルには、圧倒的に女性が多い。それはなぜなのか。

「表現、知性、美、感情の知性、オープンマインド……こういった部分において女性のほうが男性よりもずっとユニークだとニュートンは思っていました。だから、女性のほうが被写体として非常に興味深く、彼をインスパイアしたのです」(フォン・ベーム監督)

ニュートンの作品評を綴った書籍は多数出版されているが、それらは全て男性によるものだったことから、監督はニュートンに近しい12人の女性から、彼の作品性を探りたかったという。12人の女性には、イザベラ・ロッセリーニ、シャーロット・ランプリング、クラウディア・シファーといったニュートンの被写体となった女優やモデル、米VOGUE編集長のアナ・ウィンターやニュートンを批判したフェミニストのスーザン・ソンタグ、彼の師匠となった女性写真家たち、そして彼の妻ジューンが名を連ねる。

米VOGUE編集長のアナ・ウィンター/『ヘルムート・ニュートンと12人の女たち』より