2020.12.13

10代がハマるTikTokに、「アンチ」「批判」が存在しない理由

TikTokで何が起きているのか
桂木 きえ プロフィール

「人類みな兄弟」のユートピア・TikTok…?

いま一度まとめると、TikTokの人気投稿や人気シリーズを通して考えられることは、Z世代の若者たちが、「本来の自分」をさらけ出すことを好み、それを褒めあう文化を形成していること。彼らが、人はそれぞれに独自の魅力を持っており、お互いに認め合わなければいけない、「アンチ」は悪だという信念と倫理観を持っていること。そしてそんな、全員がもとから友達であるかのような環境を望んでいるように見えるということだ。

Z世代の代表的なアイコンは、主にYouTubeで活躍するKemioやフワちゃんである。Kemioは、自分をさらけ出して生きることにあくまで主眼を置き、著書『うちら棺桶まで永遠のランウェイ』でも「他人の目を気にせず、自分軸で生きる」ことについて語っている。アンチコメントや嫌なことは「スワイプして消す」という。

 

フワちゃんは、テレビ番組『徹子の部屋』に出演した際、性善説に共感していること、派生して学んだ中国哲学で性悪説を含む様々な価値観があることを知り、「人それぞれの価値観がある」「皆を受け入れる」ことについて考えていると語った。

彼らが若者たちから強力な支持を得ていることは、ゆとり世代やミレニアル世代が歌にドラマに小説に、様々な形で憧れ主張してきた「オンリーワン」が当たり前となってきたことの現れと言えるかもしれない。

そして彼らは、「オンリーワン」である個々の存在や価値観に対し、アンチコメントを残したり批判したりをすることを否定している。この「否定的な態度に対する否定」が、Z世代の若者たちの倫理観の根幹を支えていることは、おそらく間違いないだろう。

「全ての人が平等に個性を認められる状況」を勝ち取ることは、現代の大きなテーマの一つであるが、Z世代が成人する近い将来、それは主張されなくても、「当たり前」の事象になるのかもしれない。

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