コロナ禍は、あらためて健康の大切さ、病気にならないことのありがたさを、わたしたちに深く認識させました。健康の管理、維持に対する思いを、新たにした人もたくさんいたはずです。
きわめて当たり前のことですが、規則正しい生活習慣をもつことが、健康を守っていくための大前提です。規則正しい生活には、もちろん、起床、就寝時間を一定にする、暴飲暴食は避ける、適度な運動をする、疲労を蓄積させない……といったことも含まれますね。
しかし、十分に健康に留意していても、病気になるときはなります。
お釈迦様は「生老病死」を四つの苦しみ、「四苦」としています。なぜ、苦しみかといえば、そのいずれもが、自分ではどうすることもできないもの、自分の思いどおりにはならないものだからです。
禅は、どうにもならないもの、思いどおりにならないものは、「放っておきなさい」と教えています。ここで反論の声があがりそうです。
「放っておくって、病気になっても、治療せずに放っておけばいいってことか!」
そうではありません。病気になったら、もちろん、回復に向けて適切な治療を受けるべきですし、自分自身も回復のためにできるかぎりの努力をするべきでしょう。