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「勝負の3週間」に敗北…日本のコロナ対策に決定的に足りないもの

田原総一朗×尾崎治夫(1)

日本政府が「勝負の3週間」と位置づけ、短期集中でコロナ対策に取り組んだものの、感染者は増加し続けている。日本は何をすべきなのか、何が足りていないのか?

ジャーナリスト・田原総一朗氏と、「真剣勝負の3週間」を訴えた東京都医師会会長・尾崎治夫氏が、日本の状況や求められるコロナ対策について縦横に語り合った(「崎」の正式表記は「たつさき」)。

(構成:本郷明美/写真:山本華)

田原総一朗さん(左)と尾崎治夫さん(右)

菅政権のコロナ対策

田原 以前お目にかかったとき、尾崎さんは「安倍政権の新型コロナ対策はまったくなっていない」とおっしゃっていた。菅政権になってからはいかがですか?

尾崎 菅政権になっても、基本的に目新しい対策は出ていません。ただし、自民党としては、7月に発足した感染症対策ガバナンス小委員会の提言が、9月に党の政策方針になったと聞いています。

田原 武見敬三さんが中心となって取りまとめた提言ですね。政策方針になったんですか?

尾崎 政府としてではなく、自民党として、ですね。田村憲久さんが厚生労働大臣になって変わってきている部分もあるかもしれませんが、大きな変化は見えません。

 

田原 でも、田村大臣は武見さんの提言に賛成じゃないんじゃないですか?

尾崎 武見さんの提言は、現在の感染症対策を抜本的に見直しています。厚労省のもとで「分科会」というかたちではなく、政府の独立起案として作った方がいいという考えです。

対して、厚労省の中でやろうというのが田村大臣。田村大臣は我々医師会にも理解を示すし、柔軟に対応してくださる調整型の人です。抜本的に変えようというご判断は、ないんじゃないかと思います。

田原 菅首相は、「縦割り行政」を変えようとしています。きっかけは、今回の新型コロナだと思う。新型コロナ対策において、厚労省が非常に弊害になっているのは間違いありません。ある時期までは、厚労省が許可しないとPCR検査もできませんでしたね。

尾崎 たしかに感染症対策の面で、「縦割り行政」打破はありがたいです。感染症対策担当は厚労省ですが、学校関係は文科省ですし、自衛隊は防衛省……。自衛隊の医官、ナースには感染予防できる優秀な人が多くいます。ぜんぶ横につながっていけば、感染予防のいい体制が作れると思うのになかなかできなかった。