保護者はHPVワクチンにどう向き合ったらいいのか

では、保護者の対応としては、どのような点に気をつけたらいいだろう。

HPVワクチンの場合は、対象年齢が思春期にかかる子もいることから、通い慣れている医師に相談しながら進めていくことをお勧めしたいですね。小児科でも、普段から思春期相談にのっているようなクリニックでもいいでしょう。

HPVワクチンの接種のスケジュールについては、日本脳炎ワクチンの第2期(9〜13歳未満)やジフテリア、破傷風の2種混合ワクチン(11歳〜13歳未満)を接種する際や、インフルエンザワクチンなどを接種する際に、かかりつけ医に相談してもいいですね。

そして、親御さんも、子どもたちの気持ちに共感してあげてほしいと思います。痛くなかった? 部活で右腕を使うなら、左手に打ってもらおうか? 困っていることがあったら、次回先生に頼んであげるからね、など。親御さんからサポートしてあげてください。そしてこちらの不安を伝えたら、きちんと応じてくれる医師にかかりたいですね。接種後に何かあった場合には、接種した病院に相談してください」

部活の状況や受験など、子どものイベントで不安があるときには、まずは医師に相談を。photo/iStock

HPVワクチンの個別通知が送られ、接種希望者が増えていくことは、国の公衆衛生上望ましいことだ。WHOが立てた「子宮頸癌撲滅に向けた世界的な戦略」でも、HPVワクチンカバー率を上げることは重要なミッションとなっている。

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「小児科医としても、彩の国予防接種推進協議会会長としても、このワクチンは絶対必要なワクチンだと考えていますが、接種率が上がればいいという問題ではありません。イケイケドンドンで接種を進めるだけでは、また何かしら起きれば、再び“接種控え”が起きてしまう可能性があるのです。今が、とても大事なときです。医療者側も、きちんと環境を整え、保護者や子供たちへの対応を丁寧にやっていく必要があるでしょう」

峯さんは、医療者向けにも「ワクチン接種時の注意点や接種後の対応について」講演を行なってきた。

「小児科医療では、治療を受ける子どもたちが心の準備ができるようにするためのプレパレーションケアが注目され、7年前とは医療現場の対応も改善されてきていると思います。医療者側への情報提供に際しては、この秋、厚生労働省が作成した、HPVワクチンの医療者向けリーフレットに、診療姿勢、問診のポイント、接種後の対応などがしっかりと記載されていました。ようやくここまできたという気持ちですね」

一方で、HPVワクチンで訴訟裁判中の子どもたちのことや、HPVワクチン接種のお知らせが届かずに打ち逃した女の子たちのことも気がかりだ。

峯さんは、「もし心因性のことが関係しているとすれば、裁判に決着がつくまでは、症状が固定化してしまうのではないかと、とても心配しています。また、対象時期に打ち逃し、希望する子には無料のキャッチアップ接種を受けられる制度も何とか進めていきたいですね。

それには、このワクチンが他の定期接種ワクチンと同じようにある程度の接種率を確保できるようなワクチンになっていかないといけないでしょう。医療者側も変わらなくてはいけない国も躊躇せず、副反応についてはちゃんとケアするから、ワクチンを止めないようにしましょう、という強いメッセージを出して欲しいと思います」と話している。

接種が止まっていたHPVワクチンにも医師や世論の声で、晴れ間が見え始めている。次世代には子宮頸がんのない青空を仰いでほしいと願ってやまない。photo/Getty Images