撮影/中村介架
# 経営者

会社のピンチをチャンスに変えた「大成ロテック」3つの意識改革

大成ロテック、西田義則社長に聞く

ジャーナリストの大塚英樹氏は1000人以上の経営者に密着取材し、企業経営のあり方を広く世の中に発信してきた。混迷を極める社会にあって、企業の先頭に立つリーダーたちは、どのように考え、難しい局面で決断してきたのか。

大塚氏の最新刊『成長する企業トップの成功戦略を解明する ニューノーマル時代を乗り切る経営』(講談社ビーシー/講談社)は、そんな苦悩を繰り返しながら挑戦を続ける経営者たちの貴重な言動を伝えている。そして、取材によって引き出された言葉の中には、日々の生活の中でも活かせる示唆に富んだ警句が少なくない。

西田義則・大成ロテック社長が任された「会社再建」からは何が学び取れるのか。短期連載(計7回)の最終回は、危機をチャンスに変えるリーダーの思考を読み解く。

 

談合事件の連続発覚で信用失墜の会社再建に奮闘

危機を千載一遇のチャンスに転化する。追い詰められた時こそが新しい方向性を見出すチャンスである─。言葉で言うのは簡単だが、危機は焦りにつながり、自社のこれまでの全てを否定してしまい、規律を失い、悪循環に陥る企業は多い。

危機をチャンスに転化するトップは、危機の中でも冷静さを失わずに自分で考えて、考え抜く。そして過去を否定し、前へ突き進む覚悟と胆力があると考える。

その点、2016年6月、大成建設の常務執行役員土木本部副本部長を経て大成ロテック社長に就任した西田義則はどうか。

撮影/中村介架

大成ロテックは、大成建設の道路部が分離独立し、設立された大成道路を前身とする大成建設グループの中核企業だ。西田が社長になったのは、大成建設社長の村田誉之(現副会長)から、「談合事件で信用が失墜している大成ロテックの経営を立て直してほしい」と再建を託されたからだ。

当時、同社を含む大手道路舗装各社は、東日本大震災で被災した高速道路の復旧工事で談合を繰り返していたとして公正取引委員会の立ち入り検査や、東京地検特捜部の強制捜査が入り、起訴された。その結果、国交省東北地方整備局から指名停止処分、公取委から課徴金納付命令を受けた。

その後も、羽田・成田両空港の舗装工事談合事件、全国合材カルテル事件を起こし、国交省から指名停止、営業停止処分を受ける。さらに大手道路各社は、別の談合事件でも調査が入り、行政処分を受けることは避けられず、業績悪化は必至とみていた。大成ロテックも、度重なる当局の立ち入り検査で、社員の士気は低下し、社内は沈滞ムードが漂っていた。