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交通事故からの逆転劇…「大和ハウス工業」社長のピンチをチャンスに変える方法

芳井敬一社長に聞く

ジャーナリストの大塚英樹氏は1000人以上の経営者に取材をしていく中で、「成功の条件」を探ってきた。リーダーたちはどのようにして組織を率い、成功へと導いたのか。大塚氏の最新刊『成長する企業トップの成功戦略を解明する ニューノーマル時代を乗り切る経営』(講談社ビーシー/講談社)に登場する経営者たちには多くの共通点がある。ひとつ挙げるとするなら、それは「逆境でも『自分は運がいい』と思えること」だ。神戸製鋼から30代で転職した芳井敬一・大和ハウス工業社長の「幸運思考」とはどのようなものだったのか。短期連載の第6回は、そんな「成功者」の共通点を考察する。

神戸製鋼時代に長期入院

私はいつも、「成功者」の共通点を、(1)逆境でも「自分は運がいい」と思える人、(2)「志」や「夢」を持つ人、(3)過去を引きずらない人、(4)あきらめない人、(5)気配りのできる人など、8つ挙げている。

芳井敬一も、私の言う「幸運思考の成功者」の条件を備えている経営者である。

まず、逆境でも「運がいい」と思えること。人は誰しも同じような体験をする。どのようなことであれ、それに対して「運がよかった」と思えるような人が成功している。芳井も失敗や挫折した時、原因を他人や時期、環境のせいにしたりせず、全て反省の機会に置き換えてきた。

 

さらに、社会に貢献したいという「志」を持っていることだ。具体的には、芳井は社会や地域に喜ばれる、魅力ある「街づくり」をしたい、という志を持ち続ける。
そうした幸運思考で、芳井は転機を「好機」に変えてきた。

芳井は、中央大学文学部卒業後、ラグビーで神戸製鋼所グループ会社に入社。その後、大和ハウス工業に転職し、営業所長、支店長、東京本店長などを経て社長にまで上り詰める。

そんな芳井にとって人生の大きな転機は2回訪れている。

最初は神戸製鋼所グループ会社勤務時代に交通事故で長期入院した時である。

1988年8月、車を運転していた芳井は、後続車から追突され、椎間板が潰れ、腰の骨を首に移植する大手術を受けた。

当時、芳井は建設機械事業の米国進出プロジェクトメンバーに選ばれた矢先のことだった。元々名門ラグビー部・神戸製鋼のラガーマンでもあったが、3年でラグビーには見切りをつけて仕事に没頭していた。事故に遭ったのはそんなタイミングだった。

入院8ヶ月間、寝たきりを強いられ、海外赴任の夢を絶たれる中、一体俺はどう生きて行けばいいのか、挫折感を味わう日々を過ごした。