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暴走が止まらない習近平に、日米の「マジな怒り」を思い知らせる方法

CSIS報告書に隠された裏の意味

中国に甘すぎる政策レポート

米国のシンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)が12月7日、新たな報告書「2020年の日米同盟」を発表した。中国の脅威を念頭に、米英など5カ国の機密情報共有枠組みである「ファイブ・アイズ」に日本を加えるよう求めている。中国包囲網の形成は加速するのか。

「アーミテージ・ナイ・リポート」とも呼ばれる報告は、リチャード・アーミテージ元国務副長官と、元国防次官であり、著名な国際政治学者でもあるジョセフ・ナイ・ハーバード大学特別功労教授が中心になって、まとめた(https://www.csis.org/analysis/us-japan-alliance-2020)。今回で5回目だ。

リチャード・アーミテージ元国務副長官[Photo by gettyimages]
 

アーミテージ氏は共和党系、ナイ氏は民主党系とされる。政治的に超党派であり、ジョージタウン大学(CSISの母体)のマイケル・グリーン教授やビクター・チャCSIS上級顧問など有数のアジア専門家が参加していることから、提言はほぼ「米国のコンセンサス」を反映している、とみていい。

報告は日本のファイブ・アイズ参加のほか、防衛負担をめぐる日米交渉の早期妥結、北朝鮮に対する日米韓の連携強化などを提言した。私が注目したのは、提言そのものより前提となる対中認識だ。報告は中国について、こう書いている。

日米同盟にとって最大の課題は中国である。アジアの現状を変更しようとする中国の努力は、多くの近隣諸国で安全保障上の懸念を強めてきた。日本の航空、海上活動に対する米国の支援表明、尖閣諸島に対する日米安全保障条約第5条の適用再確認、そして日本の南西諸島における軍事能力を強化するための合同計画実施は同盟の重要部分だ。

だが、米国と日本、および志を共有する他国が対処しなければならない、もっと大きな課題もある。それは競争的な共存(competitive coexistence)のために、どのような新しい枠組みを構築するか、という問題である。

ここで「競争的な共存」とは、どの国との共存なのか。

報告は中国と名指しはしていない。だが、すぐ続けて〈中国のいわゆる「グレーゾーン」の威圧は、日本から台湾、フィリピン、マレーシアへと続く第1列島線の戦略的統一性がもつ重要な意味を浮き彫りにした〉と書いていることから「中国との競争的な共存」を指すのは明らかだろう。

CSISの報告書をまとめたジョセフ・ナイ元国防次官[Photo by gettyimages]
 

中国に警戒心を強めているのは、文章から十分に読みとれる。だが、そうだとしても、中国共産党の支配下にある、いまの中国と「競争的に共存する」という認識は、はっきり言って「甘い」と、私は思う。中国共産党は米国や日本と共存できるような相手なのか。答えはノーだ。

なぜかと言えば、中国共産党自身が共存を望んでいないようにみえるからだ。たとえば、米議会の諮問機関である「米中経済安全保障調査委員会(USCC)」が12月1日に発表した年次報告は、次のように書いている(https://www.uscc.gov/annual-report/2020-annual-report-congress)。

我々は委員会が設立されて以来、20年間にわたって中国の行動を追跡してきた。中国は世界貿易機関(WTO)に加盟して以来、選択的に経済と貿易、政治上の義務に従ってきたが、国際社会の懸念には応えてこなかった。いまや中国共産党は、彼らが築く新たな国際秩序の頂点に立つことを目指している。習近平総書記の下で、中共は国内的にも世界的にも、自分たちの利益を追及すると宣言しているのだ。

ここにあるように、中国共産党は「国内的にも世界的にも自分たちの利益追求」が最大の目標なのだ。そのためには、たとえば、知的財産に対する多くの窃盗行為が象徴しているように、WTOのような国際機関が定めたルールも平然と無視してきた。

南シナ海の人工島建設問題でも、彼らは国際仲裁裁判所が2016年に下した「中国の主権主張には根拠がない」という判決を「紙くず」と読んで、まったく従おうとはしなかった。そんな中共と、たとえ競争的という形容詞を付したとしても、共存可能と考えるほうがおかしい。

国際仲裁裁判所に申し立てを行ったフィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領[Photo by gettyimages]
 
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