マンガ/伊藤理佐 文/FRaU編集部

一度入ったら抜け出せない…

一気に寒くなってきた。そんなときにあると心身ともに癒されるものは何か。
そう、コタツである。
うー、寒い寒い、そんなときにあると「やったあ!」と思うコタツ。
一度入ったらなかなか抜けられないコタツ。
特に、あまり出歩けずに家での時間を充実させたい今、自宅でのコタツ需要はさらに高まるのではないだろうか。

さて、人の数だけある「コタツの思い出」が語られているのが、伊藤理佐さんのマンガ『おいピータン!!』17巻3話の「コタツ」だ。

主人公の会社で話にでた「初恋」の思い出は、小学生のときに学校から帰ってきたら、コタツで無防備に寝ていたお姉さん。なぜかお姉さんが寝ている姿を見ているときにみかんが転がってきた記憶もあり、その色とともに恋に落ちたのだという。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』17巻

じゃあみなさんにとってコタツの思い出はどのようなものがあるだろうか。

猫がコタツで丸くなるは当然として、

コタツでかくれんぼしてたらのぼせた。
コタツの中で卵を温めて孵化させようとした。
コタツで食べてたミカンが中にはいってぬるくなってた。
コタツの赤外線を見てたら目が痛くなった。
コタツにこもったら伯父さんの足の匂いに死にそうになった。

なんて人もいるのではないか。
まさに人の数だけコタツの思い出はありそうである。
ところが、伊藤理佐さんが描くのはただ「あるある」なコタツの思い出だけではない。

「コタツを知らない日本人」

伊藤理佐さんのショートコメディマンガ『おいピータン!!』は手塚治虫短編漫画賞も受賞した傑作だ。現在は主人公の事情で『おいおいピータン!!』と名前を変え、20年以上も続く人気連載となっている。食べ物の話を中心に人生のあるあるを描き出し、モヤモヤしたことが笑いに転嫁されてスッキリできるのだ。まるで人生哲学が詰まっているようでもあり、こうしてランダムにピックアップして「おいピータン!!人間学」としてご紹介している次第である。

そんな伊藤さんが描いたのは、「実はコタツを知らないオシャレな家のオレ」だ。
みんながコタツの思い出話に花を咲かせる中、オシャレなコンクリート打ちっぱなしの家でおやつと言えばアフタヌーンティだったオレは、何も言えずにいる。そう、オレはオシャレな暮らしをしてきたため、人生ずっと「コタツの思い出」にドキドキハラハラして生きてきたのだ。

(c)伊藤理佐/講談社『おいピータン!!』17巻

コタツを知らないことを口にするのは悔しくて、誤解されそうで、学生時代に「コタツの向こうに出た俺の足がさー」「お前そんなに足が長いのかよ!」なんて突っ込みを聞いて「コタツって足が出ないんだ」と心の中で思うほどリアルにわかっていないのだ。
さて、「コタツ童貞(厳密にいうとちょっとは体験があるのだが)」はそのことを知られてしまうのか。そしてそのあとは……。

そういえば、あるお宅のシャンデリアのあるリビングには、まるでそこだけ空間が違うかのようにコタツがあって驚いたこともある。驚いたけど、「やっぱりコタツだよね!」と嬉しくもなった。
畳のある家が減っている今、確かにコタツを使ったことのない日本人は増えているのかもしれないが、やっぱりコタツは最高!なのである。