読解力はビジネスにおいても欠かせないものです。たとえば営業職の場合、取引先からの発注書に書かれているさまざまな条件を丁寧に読み込まなければ、相手の要望どおりに納品することはできません。それができなければ、社会人として問題です。
優秀なビジネスパーソンは、部品を納品して終わりではなく、「取引先はなぜこの部品を欲しがっているのだろうか」と発注書を読み解きます。この部品で相手が何を作ろうとしているのか状況を察知できれば、「わが社にはこんな部品もあります」「こういう提案もできます」とビジネスチャンスを広げていけるからです。読解力は、仕事に直結して役に立つのです。
星野リゾート代表の星野佳路(ほしの・よしはる)さんは、軽井沢の実家である「星野温泉旅館」を再生し、ホテルや旅館を所有せず運営サービスの提供に特化するビジネスモデルで、日本各地のリゾートや旅館を再生させたことで有名です。現在は海外進出もしています。星野さんは運営するホテルそれぞれが置かれている状況を丁寧に読み解き、新しい需要を掘り起こしています。
星野リゾートが運営する「OMO7(おもせぶん)旭川」は、1920(大正9)年に「北海屋ホテル旭川支店」として開業したという、長い歴史を持つホテルです。初めはスキー旅行者の需要はゼロだったそうですが、欧米など世界のスキーリゾートは標高の高いところばかりで、都市から非常に近い距離でスキーを楽しめるのは日本の旭川しかない、ということに気づきました。そこで、2018年春にリニューアルオープンした際に「旭川、スキー都市宣言!」と掲げて、新しいセールスポイントをつくり出しました。