法律相談に来られた大悟さんに一通りの話を聞いてから、「仮に奥さんが洗脳されていた場合ですが、家族で一丸となって洗脳を解く努力をして、一からやり直すつもりはないのですか?」と質問しました。
大悟さんの返事は「ノー」でした。
「確かに、それも考えました。実際に妻に洗脳について話をしたこともあります。
ただ、どんなに話をしても、妻は「私は洗脳なんてされていない」の一点張りで聞く耳を持たないんです。なんども説得を試みましたが、もう疲れてしまいました…。今はただただ妻の行動が気味が悪くて、もう一言も話をしたくありません。先生、僕の代わりに妻と話をしてくれませんか?
僕はすぐにでも別居の準備をするつもりです。もう一緒に住んで同じ空気を吸うことも耐えられないんです」
大悟さんは離婚についてご依頼をされて帰られました。
その後、恵美さんとお会いして話をすることになりました。待ち合わせのファミレスにやってきた恵美さんは、おとなしそうな感じのごく普通の女性でした。恵美さんのお話はだいたい次のようなものでした。
「夫は私が変な宗教にかぶれていると思っていますよね…。洗脳されていると言われたこともあります。
なんてご説明したらいいのかわかりませんが、私は洗脳なんてされていません。洗脳されている人っていうのは、周りが見えなくなっている人だと思うんですが、私は周りが見えていますし、いたって冷静です。夫は私を悪者にすれば都合がいいので、私を悪く言っているだけなんです」
恵美さんの話はさらに続きます。