国語の教科書は、小説などの情緒的な文章と、評論などの論理的な文章の両者がバランスよく掲載されています。大人になって改めて読むとまさしく「教養の書」と言えます。どの教科書も、現代日本に生きる人間として読んでおくべき文献を、編集者が集めてくれているという印象です。
佐藤優氏と私の共著『人生に必要な教養は中学校教科書ですべて身につく』(中央公論新社)において、佐藤氏は「(中学3年生までの義務教育レベルの国語学習を完璧に理解すれば、日本語の読解力は)大学の高等教育もそれで足りるし、社会に出ても十分耐えうるレベル」と話しています。高校国語の教科書は、基本的読解力を身につけた上で、教養を養うための存在なのです。
ただし、2022年度からの高校新学習指導要領では、国語の科目編成が細分化されることになっています。高校1年生の必修科目が「現代の国語」と「言語文化」(古典=古文、漢文)となり、高校2、3年生での選択科目が「論理国語」「文学国語」「古典探究」「国語表現」になります。