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2020.12.11
# 読解力 # 読書

「本当に頭がいい」とは? 池上彰さんが指摘する受験国語の大問題

考える習慣を子どもから奪っていないか
「日本人の読解力が落ちている」という衝撃の結果となった「PISA(学習到達度調査、経済協力開発機構が79ヵ国・地域の15歳を対象に調査)」。「21世紀に必要となる3つの資質・能力」として、数学的リテラシー、科学的リテラシーとともに挙げられる基本的な力とされるだけに、本当なら由々しき事態。このわかっているようでわからない「読解力」の大切さを、池上彰さんならではのわかりやすさで示した本『社会に出るあなたに伝えたい なぜ、読解力が必要なのか?』からご紹介しよう。

目先の利益ばかり見るようになる  

PISA調査における読解力は「書かれたテキスト」を「理解し、利用し、熟考する能力」とされますが、ここで私が考える定義をご紹介しましょう。読解力とは、テキストのみならず「自分以外の他者、直面した状況などの多岐にわたる『相手』」のことを「正しく理解する力」というものです。正しく理解するためには、まず事実に基づいて自分なりに考える必要があります。

「相手を正しく理解する力」がとりわけ高い人として、東京大学法学部を優秀な成績で卒業したエリート官僚たちのことを思い浮かべる人もいるかもしれません。長期政権を敷いた安倍晋三前首相に仕えたエリート官僚たちの「忖度力」が、近年話題となりました。

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「忖度力」と「読解力」とは、どう違うのでしょうか。「忖度」は、紀元前6世紀ごろまでの詩歌を収めた中国最古の詩集「詩経」にも出てくる古い漢語で、辞書的な意味は「他人の心をおしはかること。また、おしはかって相手に配慮すること」です。日本では「森友問題」で一躍脚光を浴び、2017年、「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に選ばれました。

森友学園の籠池泰典理事長が、財務省近畿財務局と国有地の売却について交渉する際、安倍昭恵首相夫人との交流を強調することで約8億円も値引きしてもらった疑惑に関して、「(安倍首相夫妻は)口利きはしていない。(財務省の官僚の方々が、夫妻の意向を)忖度をしたということでしょう」(肩書きはすべて当時)と述べたというものです。

読解力と忖度力は、一見似たような意味を持ちそうですが、森友問題を経た現代日本ではまったく違います。忖度力とは、相手に配慮することでその先にある「自分にとっての目先の利益」を素早く見つける力、とも言えるのではないでしょうか。

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