46年間「ノグソ」を続けてわかった「うんこの重要性」

自然に還元可能な“正しいノグソ”とは?
飯田 一史 プロフィール

正しいノグソ講座――葉っぱ編

伊沢 ノグソをしたあとは葉っぱと水で拭きます。かつては仕上げだけはティッシュを使っていましたが、ある日、うんこをするために穴を掘ったらまったく分解されていなかったティッシュが出てきて以降は、すべて自然のもので拭いています。

湯澤 ウンコはどこから来て、どこへ行くのか』を書くにあたって紙が普及する以前に日本では何が使われていたのかを調べましたが、拭くものの基準はどの土地でも「近くにあって取ってもなくならないもの」なんですよね。

伊沢 だけど今までの葉っぱの選び方は「一応拭ければいい」レベルなんです。私の場合は拭き心地のよさを追求している(笑)。ここで問題を出したいんですが、木に付いている生の葉っぱと枯れ葉、どちらが適していると思いますか?

湯澤 え? 枯れ葉だと痛いですよね?

 

伊沢 ところが、脆くて破れやすいと思われがちな枯れ葉も、朝露や雨があれば濡れますよね。そうすると生の葉っぱよりしっとりとしてやわらかくなる。逆に夏は意外に使える葉っぱが少ないんです。元気すぎる生葉よりも少し湿った枯れ葉のほうがいい。

湯澤 なるほど。ある人が「落葉樹は企業に例えると厳しい世界だ」と言っていたんですね。冬前にはリストラさながらに落ちてしまうし、落ちた枯れ葉も今では邪魔者扱いで処理されてしまう、と。でもおしりを拭く葉っぱとして使おうと考えると、見方も変わりますね。落葉した後に再就職先がある、というイメージです。

伊沢 そうですね。ただ、植物の研究者や愛好家なら、見た目だけでどの葉っぱがなんという名前なのか知っている人はたくさんいます。ところが「おしりから見た葉っぱの良さ」は知らない。目で見て頭で考えているだけで、きちんと触っていない。たとえばこの林内に生えているヤブムラサキの葉っぱ、どうです? 柔らかいでしょう。

湯澤 すごいふわふわですね。ビロードみたい。

伊沢 ヤブムラサキは林縁に生えているムラサキシキブの仲間なんですが、お尻を拭くならヤブムラサキのほうがはるかにいい。だけどムラサキシキブのほうが良い名前ですよね。これひとつとっても、いかに人間が「見た目だけ」で名前を付けたり価値を決めたりしているのかがわかる。さらに手よりも敏感な肛門の粘膜で触れて確かめると、植物の評価は決定的に違ってくるんです。

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