Photo by japrz/iStock

宇宙ステーションまでたった400キロなのに、ロケットが時速3万キロも出す理由

現役東大生のサイエンス入門
好評連載「現役東大生のサイエンス入門」。今回のテーマは「ロケット」です。宇宙ステーションを訪れるにも、探査機を小惑星に送るにもロケットがなければ始まりません。宇宙へ旅立つための、この唯一の手段についてやさしく教えてもらいました。

みなさんは、野口聡一さんのCrew-1ミッション(商業有人宇宙船クルードラゴンの有人運用飛行)の打ち上げとISS(国際宇宙ステーション)到着のライブ動画をご覧になりましたか?

洗練された宇宙服や宇宙船の内部は、まるでSF映画のセットみたいで次世代の宇宙開発を感じさせました。来年の春頃には星出彰彦さんがISSに向かう予定になっています。また若田光一さん、古川聡さんも22年、23年にISSに長期滞在する見通しです。

そして2021年秋に新たに宇宙飛行士を募集すること、今後5年に1度のペースで宇宙飛行士が募集されることも発表されました。

再び月面着陸を目指すアルテミス計画において日本人の初月面着陸が期待されていることもあり、これからの日本の有人宇宙探査計画に目が離せません! 

一方で、無人探査といえば「はやぶさ2」です。今月6日未明にカプセルの分離・投下に成功し、小惑星「リュウグウ」のサンプルを無事地球に届けてくれました。

さて、これらのミッションはすべてロケットの存在なしには行うことができません。ロケットは宇宙開発においてとても重要なのです。というわけで、今回はロケットについてお話しましょう。

【写真】ISS国際宇宙ステーション(ISS)Credit: NASA

ロケットはどうやって加速する?

打ち上げを動画などで見たことがある方はわかると思いますが、ロケットは発射してものすごい勢いで上昇していき、ブースターやエンジンなどが役割を果たし不要になったら、それらを分離してさらに速度を増していきます。

「こうのとり」7号機の打ち上げでは、その分離までに秒速7.7kmに加速しました。また、「はやぶさ2」の打ち上げでは「はやぶさ2」の分離までに秒速11.4kmに加速しました(実は、分離前の第二段エンジン第二回燃焼停止〈SECO2〉までで、秒速11.8kmに加速しています。詳しい情報については、ロケット打ち上げ計画書に記載されているので調べてみましょう!)

では、そもそもロケットはどうやって飛ぶのでしょうか。またどうして大きな速度が必要なのでしょうか。

ずばり、ロケットは燃料を燃やしてできるガスを進む方向の反対方向にふき出し、その反動で飛んでいます。風船をふくらましてそのまま離したことはあるでしょうか。すると風船は縮みながら風船の口があるのとは反対方向に飛んでいきます。

ロケットが飛んでいるのはこれと同じ原理です。ロケットが受ける反動は、ガスをふき出す量と勢いが大きいほど大きくなり、その分ロケットの速度の増加も大きくなります。ロケットのエンジンを開発するうえではガスをふき出す速度をいかに上げるかということが重要になるのです。

また、さきほど「不要になったエンジンなどを分離して、さらに加速する」と説明しましたが、ロケットのエンジンを多段式にするというのもロケットを加速する上でとても大事な工夫の一つです。

ちなみに、飛行機も同じようにガスを吹き出すことで空を飛んでいるのですが、飛行機は燃料を燃やすために空気を使うので、空気のない宇宙へいくことはできません。一方でロケットは燃料を燃やすための「酸化剤」をロケットに積んでいるので、宇宙でも飛ぶことができます。

関連記事