近年、代表制民主主義の危機が叫ばれるようになっている。
例えば、欧米では、各国でポピュリズムが台頭している。2016年には、いわゆるブレクジット(Brexit)で、国民投票によりイギリスのEU離脱が決まり、アメリカでは過激な主張を繰り返すドナルド・トランプが大統領に就任した。
こうしたポピュリズム現象の背景には、政治を支配する既存のエリートへの不満があると言われている。
政治に対する不満は、日本も例外ではない。
日本では、欧米ほどに深刻なポピュリズム現象は生じていないが、国会議員への信頼度は決して高くない。2019年1月の日本経済新聞の世論調査によれば、警察やマスコミ、自衛隊、裁判官などの8つの機関や団体、公職についての信頼度を尋ねたところ、国会議員は「信頼できない」が56%と最も不信度が高かった。
こうした不信・不満が生じる背景には、社会的に有利な立場にある人々の意見が反映されやすく、その結果、政治決定が一般市民の声と乖離するという、選挙の構造的問題があるかもしれない。
代表制民主主義は、人々に平等な選挙権と被選挙権を保障することで、国政に一般市民の声を反映するものであるとされる。しかしながら、実際には、市民の声は平等に代表されてはいない。