フードデリバリーはギグワークの代表例である(photo by iStock)

ギグワークに従業員シェア…副業・兼業がコロナ後の本流となるワケ

コロナ後の未来年表(4)
「ギグワーカー」に「従業員シェア」……新型コロナウイルスの感染拡大による影響で「1つの企業にとらわれない働き方」が注目を集めている。雇用環境の悪化が副業の増加を推し進めるというネガティブな側面もあるが、副業・兼業によって解決可能な社会課題も多い。ベストセラー『未来の年表』シリーズ著者でジャーナリストの河合雅司氏が、コロナ後の働き方を見通す。
 

ギグワーカーに従業員シェア

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ギグワーカーの増加従業員シェアの本格化など、「多様な働き方」の拡大を予感させる動きが目立ってきた。

「ギグワーカー」とは聞き慣れない言葉だが、インターネットなどで単発の仕事(ギグワーク)を請け負う働き方をする人のことである。最近よく見かける、自転車で料理を届けるサービスなどが代表格だ。

企業にとっては需要の増減などを見ながら随時発注できるメリットがあることから依頼件数は多く、会社員などの副業として広まっている。仲介する事業者も増えており、ソフト開発やデータ入力など仕事の種類が多彩になってきた。

他方、「従業員シェア」は、稼働率が著しく低下して事業の縮小や休業を余儀なくされた企業の従業員を、人手不足が続く他業界の企業が出向者として受け入れるシェアリング型一時雇用のことだ。あくまで出向なので雇用は維持され、一定期間を経たら出向元の会社の仕事に復帰する。

出向者への給与は受け入れ企業と出向元企業とで捻出するので、出向元企業としては人件費を抑制できる。結果として、大規模な休業やリストラも避けられる。受け入れ企業も一時的な需要増に即座に対応できるとあって、双方にメリットがある。

感染が拡大し始めた春先には、営業自粛に追い込まれた居酒屋チェーン店の従業員がスーパーマーケットの売り場で働くといった事例が見られたが、最近では大企業同士の大規模な提携が増えてきた。

コロナ禍でスーパーマーケットは人手不足となった(photo by iStock)

家電量販店のノジマの場合、日本航空や全日本空輸などから最大600人を、販売部門やコールセンター業務の要員として受け入れる。出向者の一部が転籍するケースもあり、新たな雇用流動化策としても注目されている。

厚生労働省は「従業員シェア」について雇用危機を防ぐ安全網として位置づけ、出向元企業と受け入れ企業の双方を対象とした助成金の創設など支援を強化する方針だ。

スキルアップもできる

以上のように、ギグワークと従業員シェアとでは仕組みも普及してきた経緯も異なるが、「就社」を当たり前としてきた長年の日本型労働慣行に一石を投じたことでは共通する。

これらの動きを加速させたのは、コロナ禍がもたらした雇用環境の悪化だ。厚生労働省の集計によれば、解雇や雇い止めにあった人数は11月27日時点で7万4055人(見込みも含む)に及ぶ。

10月の完全失業率(季節調整値)は3.1%に悪化し、完全失業者(同)も前月比8万人増の214万人となった。雇用の先行指標となる新規求人(原数値)を見ても前年同月比で23.2%減り、とりわけ宿泊業・飲食サービス業(38.2%減)や生活関連サービス業・娯楽業(35.4%減)などの落ち込みが激しい。