「ストケソサウルス」の謎……北米と欧州で発見された同じ名前の恐竜

ティラノサウルス徹底研究 第7回
好評連載中の「ダイナソー小林の超肉食恐竜ティラノサウルス徹底研究!」
今回は、アメリカとイギリスで発見された「ストケソサウルス」について、なぜ兄弟のような2種の恐竜が別々の大陸で見つかったのか、その謎に迫ります。

8000キロの距離を超えた2種類のストケソサウルス

前回までに、世界に分布しているティラノサウルスの仲間について解説してきました。

進化の度合いからその派生種を一軍、二軍、三軍に分け(ティラノサウルスはもちろん一軍です)、さらにそれぞれの棲息時期やエリアを整理することで、ティラノサウルス軍団の実態を追ってきたわけですが、ここで二軍メンバーについて復習しておきましょう。

【二軍メンバー】
 ディロング(中国東北部)(白亜紀前期バレミアン期)
 ユティラヌス(中国北東部)(白亜紀前期バレミアン期)
 シオングアンロング(中国西部)(白亜紀前期アルビアン期)
 ラプトレックス(中国北西部?モンゴル?)(白亜紀前期バレミアン期からアプチアン期)
 エオティラヌス(イギリス)(白亜紀前期バレミアン期)
 ストケソサウルス(アメリカ西部とイギリス)(ジュラ紀後期ティソニアン期)
 ドリプトサウルス(アメリカ東部)(白亜紀後期マーストリヒチアン期)
 アパラチオサウルス(アメリカ東部)(白亜紀後期カンパニアン期)

 一軍になりきれなかった、つまりは進化の途中にあるティラノサウルスの仲間たちは、簡単に整理するとイギリス、アメリカ東部・西部、そして中国東北部・西部に棲息していました。そして時代を見てみると、ストケソサウルスだけがジュラ紀で、あとはすべて白亜紀となっています。

そこで紹介したいのが、2013年に出版された「ヨーロッパと北米から発見されているジュラ期後期の獣脚類ティラノサウルス上科の分類」という論文です。この論文は、北米とヨーロッパのジュラ紀後期の地層から発見された、「ストケソサウルス」に注目したもの。

ストケソサウルスには、2つの種がありました。1つは、ストケソサウルス・クレベランディと呼ばれるもので、アメリカのユタ州から発見されています。この現場は、クリーブランド・ロイド恐竜発掘現場と呼ばれる、世界的に有名な発掘スポットです。

 

もう1つは、イギリスのドーセット(ロンドンから西に200キロくらい)で発見されたストケソサウルス・ラングハミです。ユタ州とドーセットの距離は、およそ8000キロ。直行の路線の飛行機で10時間ほどの距離でしょうか。

つまり、ストケソサウルスという同じ名前の恐竜が、8000キロも離れた、しかも異なる大陸から見つかったことになります。これは一体どういうことでしょうか。