2020.12.10
# 地銀再編

地銀の危機で誰の目にも明らか、現実を見ぬ「地方創生」の無残な結末

地銀再編が地方淘汰に繋がるワケ2
高橋 克英 プロフィール

コロナ禍下でユーザーが気付いてしまったこと

わざわざ来店する必要のないネット銀行、ネット証券、デジタル・プラットフォーマーが、慣れてみるといかに便利なことか。危機的状況に頼りになるのは、国、地方自治体、日本政策金融公庫、信用保証協会といった政府系金融だった。そして、銀行よりも身近にある信金、信組、JAバンク、郵便局の存在も親身でありがたかった。

 

ニュース報道にあるような、本当に困った観光や飲食を中心とした中小零細企業や自営業者、フリーランス、個人の多くは、実は地銀の顧客ではなく、信用金庫や信用組合、JAバンクやノンバンク、そして政府系金融機関に信用保証協会、更に地方自治体の制度融資などの顧客だったりするのだ。

住宅ローンを除けば、個人との接点も多くなく、地元のいわゆる名士企業や大企業などに加え、規模でいうと中小企業というより、中堅企業といったところが、地銀の中心顧客である場合が多い。地域経済社会において、地銀のプレゼンスが高いようで高くない実態のからくりだ。コロナ禍で業績にあまり影響がない地銀というのは、皮肉にも地域に根差していない証左といえるのかもしれない。

皆が薄々気づいている不都合な真実

地銀の構造的問題と業績不振に加え、政府・金融当局による3つの地銀包囲網が形成されたことで、地銀の再編は期限が定められ、不可避なものとなった。地銀が再編され淘汰され二極化するということは、裏を返せば、地方そのものが再編され淘汰され二極化していくということだ。

そもそも、地域経済、地域社会、地方が衰退していなければ、地銀の業績もここまで悪くなることはなかった。この先101行すべての地銀が生き残るパイはないということは、この先すべての地方が生き残るパイはないということでもある。47都道府県、数多くの市町村すべてが存続することの是非が問われているということだ。

多くの皆さんも薄々気付いているはずだ。人口減少と少子高齢化の時代、全国一律、すべての地方が自立し成長していくのは無理だと。それなのに地方創生だ!地方活性化だ!と正論に基づくむなしい施策が横行している。東京一極集中は簡単には止まらない。それが民意だ。魅力があるから、チャンスがあるから、つまりお金が稼げるから、ヒトも企業も大学もカネも集まる。当然のことだ。

実際、すでに東京での貸出が収益の多くを稼いでいる地銀は多い。それは株式会社として正しい判断だ。しかし、政府・金融庁に気兼ねしてか、それが好意的に語られることはない。なぜなら、地方創生という錦の御旗が上がっているからだ。

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