経済的な問題を解決するために

まずは、経済的な問題を解決するために、パートではない就職先を探した。契約社員ではあるが、マンションの管理人の仕事が見つかった。社会保険に加入でき、手取り11万円。養育費と児童扶養手当を合わせれば、ふつうに生活していける。

「お金のめどが立ったら、すごく気持ちが楽になったんです。新しい仕事を始めて3ヵ月くらいたったある日、子どもとテレビを見ていて、思わず大声で笑ったんです。そうしたら子どもがすごいびっくりして、『お母さんがこんなに笑ったの、久しぶりに見た』って。テレビを見て笑うというふつうの暮らしが取り戻せたあたりから、いろんなことが少しずつよい方向に向かっていったような気がします」

とも美さんは子どもの気持ちを少しでも明るく盛り立てようと、休みの日はおもちゃショーや映画、夏は海やプールへと、積極的に連れて出かけた。家では歌をうたっておどけるなど、陽気にふるまった。しだいに子どもの様子が変わってきた。

笑うこと。明るくすること。それだけでも家の空気が変わる Photo by iStock
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「不登校気味ながらも小学校を卒業し、中学校でテニス部に入ったら、それが楽しかったみたい。もともとスポーツが得意で、小学校時代は野球チームに入っていたのが、離婚を機にやめてしまっていたんです。部活を始めてからどんどん元気を取り戻し、中学2年生のときには選ばれて部長になるほどまでに、しっかりとした子どもに成長しました」

子どもが高校生になったとき、もうひとつの転機があった。思い立って、シングルマザーの集まりに参加してみたのだ。そこには、大変な境遇ながらも頑張っている仲間がたくさんいた。
「すごく刺激を受けて、私ももっと頑張ろうと思い、正社員の口を探して転職したんです。仕事内容は、これまでと同じマンションの管理人ですが、今度の会社は大手で福利厚生がよく、定年後にも再雇用制度があって、希望すれば75歳まで働ける。給与も手取り15万円までアップ!」

これならば老後も子どもに頼らずやっていけそうだ。ますます気持ちが安定した。