都市伝説化するビッグフット
興味深いのは、パターソンが撮影した映像が話題になってから、ビッグフットの目撃例が急増したことだ。単に目撃報告の数が増えただけではなく、目撃されるエリアも広がった。それまでは人里離れた場所での目撃例が大半であったのに、1970年代に入ると、ミシガン州、ペンシルベニア州、フロリダ州など人口密度の高い州でもビッグフットが見られるようになったのだ。
人気の少ない場所ならともかく、人口も多いエリアに2メートル以上の生物がいたら、簡単に確認どころか捕獲されてしまうように思うのだが……。

人口密度の高い場所に度々出現しながらも、未確認生物であり続けるビッグフットの正体に対しては、不可思議な仮説も続出している。宇宙人説、異次元の生物説、妖精説などである。ただの猿人ならとっくに捕獲されてしまっていただろうが、宇宙人や妖精なら、今の人類の科学力では捕獲出来なくても不思議じゃないというわけだ。
筆者は、生物としてのビッグフットの存在は否定できないと思っているが、1970年代以降のビッグフットは都市伝説的存在としての側面が強まったとも考えている。わざわざ人気のない山奥にまで探しに行かなくとも、町に突然やって来る妖怪のような存在に変化したのだ。かつて日本でも社会現象になった口裂け女や人面犬のようなものである。
都市伝説にはどんどん尾ひれが付いていく。10メートル近いサイズのビッグフットが登場したり、UFOから降りてきたビッグフットも目撃されるようになった。
続々と寄せられる「目撃情報」
今なお議論が続くパターソンの撮影した映像であるが、その後はあまりクオリティーが高くない(一目で作り物とバレる)ビッグフット映像も続々と公開されている。
なかには、ビッグフットの撮影に十数回成功したと語り、自分が撮影したビッグフット映像をまとめたビデオを販売する者まで現れた。ある意味、ビッグフットは1つのビジネスとなったのかもしれない。それだけ撮影に成功できるのなら、物的証拠(体毛など)も入手できるだろうし、然るべき機関と連携すれば捕獲だって出来ると思うのだが、当然そのような動きはない。