「都知事とはいえ、家族との団らんにまで口出ししてくるなんて……」
ウンザリした様子でそう話すのは、都内で居酒屋を営む酒井義春さん(62歳・仮名)だ。
「GoToイートのおかげで客足も平時の9割ほどまで戻っていたんです。けれど、『東京の新規感染者数が過去最多を記録』という一報が流れた途端、予約キャンセルの電話が鳴り止みませんでした。
思わず不安になり、小池(百合子)さんが生出演するニュース番組をつけたのですが、私たち飲食店をどう救済してくれるのかというような具体的な話はなく、『家でもマスクしろ』なんて呆れたことを言う。さすがにおかしくないですか」
11月18日、都内の新型コロナウイルスの新規感染者数は493人と発表され、一日の新規感染者数としては過去最高(当時)を記録した。重症者数も含め、翌日以降も今夏の第二波を超える水準で推移し、多くの人が今も先の見えない不安な日々を過ごしている。
そんな中、小池百合子都知事は人々の神経を逆撫でするかのような発言ばかりしている。
感染者数が過去最多を更新した18日夜、BSフジ『プライムニュース』に出演すると、「基本の基本を守って頂くことに尽きる」と曖昧な表現に終始。そして「家族がいる場合は、家でもマスクをしていたほうがより効果的ではないか」と都民に「指令」したのだ。
「小池氏の『家でもマスクしろ』発言は、都民を馬鹿にしているのかって感じですよ」と語るのは、作家の適菜収氏だ。
「家の中でマスクをすることにどれだけ効果があるのか分かりませんが、そんなことより、どう感染拡大を食い止めるか、飲食店への時短要請や補償はどうするかなど先に言うべきことはたくさんあったはずです。彼女の目的は結局、いかに目立てるか。都民のことなんて何も考えていませんよ」
これまで小池氏は「ステイホーム」「ロックダウン」「オーバーシュート」といった横文字を次々と使い、その度に都民の注目を集めてきた。聞こえの良いキャッチフレーズをフリップと共に紹介するのも、すっかりお家芸になっている。しかし、肝心の政策の中身はいつもスカスカだ。