「世界の100校」に日本の小学校が

この秋、日本の教育界に飛び込んできた画期的なニュースがある。それは、デンマークの教育支援団体「T4」が主催する「Global Showcase School(世界の100校)」に、日本の小学校が選ばれたということ。それが、京都の立命館小学校だ。エントリーしていたのはアメリカ、ヨーロッパ、アジア、中東、アフリカなど世界中の小・中・高等学校だと聞くと、これは非常に驚くべきことだとわかる。

この立命館小学校への評価を支えた要因のひとつはおそらく、ここで教鞭を取る正頭英和先生。なぜなら正頭先生は、2019年、“教育界のノーベル賞”と呼ばれる「Global Teacher Prize」の世界のトップティーチャーのトップ10に選ばれているからだ。

世界で求められている教育とはどんなものなのか。学習は、ますますオンライン化していくのか。とりわけコロナ禍を経て激変する世界を生きていく子どもたちに、今後どんな学びが必要とされていくのか。オンライン環境を活用した数々の教育実践で世界的に注目を浴びる正頭先生に語っていただく。

撮影/山本遼
正頭英和 Hidekazu Shoto  
立命館小学校教諭/ICT教育部長。環太平洋大学非常勤講師。1983年大阪府生まれ。関西外国語大学外国語学部卒業。関西大学大学院修了(外国語教育学修士)。京都市公立中学校、立命館中学校・高等学校を経て現職。「英語」に加えて「ICT科」の授業も担当。2019年、「教育界のノーベル賞」と呼ばれる「Global Teacher Prize(グローバル・ティーチャー賞)」トップ10に、世界約150ヵ国・約3万人の中から、日本人小学校教員初で選出される。これからの教育のあり方をテーマにした講演も多数。著書に『子どもの未来が変わる英語の教科書』(講談社)など。
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「世界の100校」の共通点

「世界の100校」の選定基準となったのは、SDGs(2015年に国連が定めた持続可能な開発目標)のGoal 4「質の高い教育をみんなに」への取り組みをしていること。立命館小学校が選出されたのは、広める価値がある、再現性の高い教育をしていることが認められたのだと思います。以前の記事で紹介したような、ゲーム「マインクラフト」を導入した授業を始めとするICT(インフォメーション&コミュニケーション・テクノロジー)を活用した教育が評価された、ということもあるでしょう。

人気のゲームソフト「マインクラフト」を使った立命館小学校の英語の授業。子どもたち同士の協働作業により、京都の観光スポットを画面上に作成したのち、海外とオンラインでつないで英語で作品のプレゼンテーションを行い、フィードバックをもらう。英語×ICTを組み合わせた体験型の授業となっている 写真提供/正頭英和

「世界の100校」には、やはりVR、ARといったテクノロジーを活用した教育をしている学校も多く選ばれています。といっても、先生がホワイトボードの前に立って知識を一方的に教えているというよりも、共通しているのは立命館と同様に、単にICT教育を取り入れているだけでなく、体験を伴った学びを重視している点です。世界の教育のキーワードの一つは「体験」です。

立命館小学校はこの夏、立命館大学が主催するオンライン・ワークショップ「トマトアドベンチャー」に参画。有志の小学5〜6年生をイタリアの食品関係者やピザ職人とライブでつないだ。フードロス問題を考え、プロから料理を学び、トマトを使ったオリジナル料理を発表する3日間にわたる自由研究企画は、オンラインを活用した体験型学習の可能性を示した 写真提供/正頭英和