新型コロナの影響で、カフェで友達とおしゃべりしながら“お茶する”ことが簡単にできなくなってしまった昨今。誰かと一緒にお茶を飲む時間は、心が満たされるひとときですが、“お茶を楽しむこと”はひとりでも、自宅でもできます。風邪の予防に茶カテキンがいいという話もあるように、健康面にも期待できるお茶。おうち時間に楽しんでみては? 現代を生きる茶人・岡田宗凱さんは、茶道の伝統を重んじながら、茶を楽しんでもらう術を日々考えています。その思いに今、触れてみましょう。

岡田宗凱(おかだ・そうがい)
「世界茶会」主宰。1982年東京都生まれ。東京・品川で誰でも気軽にお茶会を楽しめるワークショップを毎月開催。また国賓や海外セレブのもてなしをはじめ、子供向けの茶会なども行う。

「お茶でもいかがですか」その一言で
相手との距離がグッと縮まる

みなさんはどんな時に「お茶」を飲みますか。デスクワークの合間に、食事のお供に、ひと息つきたい時になど、日本茶を飲むことは日常的で“ひとり”でも楽しめます。私は「お茶」と言っても抹茶、茶道に携わっています。茶道は客人をもてなすことが前提なので、ひとりではなく“誰か”と一緒に楽しみます。

それが茶道ならではのおもてなし「お茶会」です。招く側を「亭主」、もてなされる側を「客」、そしてもてなす場を「茶席(席)」と言います。亭主がテーマ決めから席にそった道具の取り合わせ、お菓子などまで準備。そして客はその気持ちを汲み取るように席に入り、一期一会を大切にします。

茶席では、お菓子を食べ終えてから抹茶をいただきます。紅茶やコーヒーなどのように、お菓子と交互にはいただかないというのが特徴です。お茶を飲み終えた後は、茶碗を拝見したり、亭主がご用意くださった道具一つひとつについてのお話やお茶会のテーマについて尋ねたりします。お茶席では「話してはいけない」というイメージもありますが、難しく考えすぎず、お茶を介しての“こころの交流”になればと思います。

また、亭主と客の双方でお茶席をつくる「一座建立」という考えが茶道にはあります。私たちはこの“一体感”が感じられるお席を目指しています。茶道の面白さ、奥深さの神髄はまさにここにあるのです。 

日常的に友達同士が集まって飲むお茶には茶道のようなきまりはないでしょう。しかし、お菓子を食べながら、お茶を飲みながら、おしゃべりしながら、気の置けない仲間と過ごす時間や空間にも一体感は生まれ、シンプルに楽しいものです

抹茶でも日本茶でも、お茶をいただく時間を共にすることは、コミュニケーションであり、互いの距離を縮めるきっかけにもなります。ひとりで飲むお茶もいいですが、誰かと一緒に飲むお茶の時間は、心が満たされるひとときになると思います。

そしてお茶をいただくメリットは健康面からも注目できます。お茶に含まれる茶カテキンはポリフェノールの一種で、高い抗酸化作用や抗アレルギー作用、生活習慣病の予防などが期待される成分です。風邪の予防に茶カテキンがいいという話も聞きます。日本茶は、主に急須などに湯を入れ煎じることで、その成分(栄養素)を抽出しています。抹茶は、碾茶と呼ばれる原料茶葉の葉肉部分をまるごと、石臼で挽いたものなので、余すところなく茶葉の栄養素を摂取できます。私が日々、元気に過ごせているのも抹茶をいただいているおかげかもしれません。

お茶の先生方を見ていても本当に元気で、おキレイです。髪を整え化粧をし、着物を着て、お茶会へ出かける。このライフスタイルがアンチエイジングにならないわけがないと確信しています。

煎茶などの日本茶は一杯、二杯と数えますが、抹茶に限っては一服、二服と数えます。これは諸説ありますが、かつて抹茶が薬として伝わった名残だと言われています。そのことを思うと、昔からお茶は体にいいもの、という認識があったのかもしれません