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# 書評

【書評】医学と感染症の狭間に生まれた「利権」を追う必読の書

コロナで後手を打つ無教養政権への痛撃
【書影】『ドキュメント感染症利権』

今回取り上げる書籍

山岡淳一郎 著
ドキュメント感染症利権——医療を蝕む闇の構造

 

これまで存在しなかった視点から

『ドキュメント感染症利権』を一読して感じたのは、拙著『コロナ黙示録』と双子のような本だということだ。実際、共通点は多い。現在のコロナ対策に疑念と不満を持ち、政権の対応を批判的に論じている。執筆時期も『コロナ黙示録』が20年4月7日〜5月25日と緊急事態宣言の時期と完全に一致しているが、『ドキュメント感染症利権』は20年3月〜7月だそうなのでほぼ同時期である。

正直言えば本書が執筆時に手元にあれば『コロナ黙示録』は一層精緻かつ華やかになり、攻撃力はより高まっただろう。「なぜ本書をもっと早く紹介してくれなかったのだ」と紹介してくれた編集者を詰(なじ)ったが、冷静に考えれば(いや、冷静に考えなくても)それは八つ当たりというものだろう。

本書は、これまで散在していた近代医学史と現在の感染症対応に関する貴重なデータを丁寧に掘り起こし、丹念につなぎ合わせ、「利権」という新しい観点から、わかりやすく感染症医療の流れを示している。そんな書籍はこれまで存在しなかった。その意味で本書は医療従事者や医学生の必読の書である。もちろん現政権のコロナ対策がおかしいと感じている市民にとっても。

今話題のコロナ治療薬「レムデシビル」を開発した製薬会社の由来や、中国のコロナ対策で陣頭に立ち、獅子奮迅の大活躍をする、80代の公衆衛生学の老英雄・鍾南山の存在など、本書で初めて知った事柄も多い。