2020.12.11
# 中国

共産主義なのに極端な経済二極化、これが中国暴走の根本原因か

1京円の債務、公表の半分の経済規模
大原 浩 プロフィール

本当に世界第2位の大国なのか? 

中国国家統計局が10月19日に発表した、2020年7~9月期の実質GDP(国内総生産)成長率(速報値)は、前年同期比プラス4.9%。2四半期続けてのプラスとなっている。

しかし、これを額面通り受け取るのは、中国・日本を始めとする御用学者だけであろう。

例えば、あるアンケート調査によれば、中国国内においても「パンデミック前よりも収入が減った」と答える人々が多数を占めている。

いくら共産主義中国が搾取社会だと言っても、1人1人の国民所得が減っているのに、その所得と強い相関関係にあるGDPだけがプラス成長になるというのは奇怪な現象である。

それでは、中国GDPの実態とはどのようなものであろうか? 朝香豊氏の「今度こそオオカミが来る?中国・不動産バブルのホント」記事が大いに参考になる。

GDPとともに、一国の経済に大きな影響を与えるのが債務である。中国を代表する金融専門家である朱鎔基元首相の息子の朱雲来氏は、2018年に非公開の講演の席で、中国の2017年末での債務の合計が600兆元(1京円)をすでに越えていたと語っている。

1京円とは、普段お目にかからないとてつもなく大きな数字(1000兆円の10倍)だが、中国中央政府だけではなく、地方政府やそれらと癒着した組織、機関、個人の借金の実態は不明なため、荒唐無稽な数字とは言い切れないと思う。

例えば、国外を含む中国文化圏では、税金あるいは資産を明らかにしたくない等の理由から、紙ベースの契約書を作成せずに、口約束だけで巨額の取引を行うことも多い。だから、当然それらの取引は統計には反映されない。いわゆる地下経済だ……

地下経済を含めると借金の額が公式統計よりも極単に膨れ上がるのは当然とも言える。しかも、GDPと違って債務(借金)は名誉なこととは言えないから「過少申告」の動機が強く働く。

また、朝香豊氏は前記記事において、2017年のGDPは公式統計では83兆元(1300兆円)だが、実質的にはこの半分程度だと考えられるとしている。

毛沢東が専制支配した「大躍進」時代の鉄鋼生産の水増しより驚くほど控えめだが、650兆円といえば、2018年の米国GDP約20.5兆ドル(約2100兆円)とは比べ物にならないだけではなく、日本の2019年のGDP約550兆円と大差はない。

これだけ考えれば、中国の経済力は世間で騒いでいるほどのことはないと言える。

しかし、地下経済は公式統計には入っていないから、公式統計が公表値の半分しかなくても、(少なくとも公式経済と同程度の規模があると考えられる)地下経済を足し合わせると結局公表値程度のGDPはあるのではないかと考える。

1300兆円以上のGDPであれば、米国ほどではなくても世界経済に大きな影響を及ぼせる。

しかし、650兆円以上と考えられる地下経済は中国共産党の支配下にはない「闇」の世界に存在する。習近平政権や中国共産党の将来に不安を感じれば、あっという間に海外に「逃亡」してしまう存在であることは、厳しい措置が繰り返される「資金流出規制」からも明らかだ。

結局、習近平政権が直接支配できるのは公表値の半分程度のGDPであり、米国と対等な立場で戦うなどと言うことは到底できない状況と言えるであろう。

 

また、この一連の考察が正しいとすれば、共産主義中国の「借金」はバブル期の日本の比ではなく、「自転車をこぐ巨像(虚像)」と揶揄される中国が倒れる時の地響きはとてつもない大きな音になるはずである。

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