先日の記事『中学入試の問題「5、9、13、□、21」□に入る数はなに?』では、「暗黙の規則」によって“正解”が制限されてしまう入試は、数学の自由な精神に反するのではないか、ということを述べた。
しかしこの問題ぐらいなら、まだ罪はそれほど重くないのかもしれない。最近、何人かの小学生に訊いたのだが、小学校では信じられないような不当な「規則」が幅を利かせ、子供たちを苦しめているらしいのだ。
算数に限ってそのいくつかを紹介すると、たとえば下のような長方形の面積を求める場合、
5×3=15
と求めると、バツになるというのだ。
どういうことなのか、最初はわからなかったのだが、長方形の面積を求める公式は
長方形の面積=縦×横
なので、その通りに計算しなければならない、と指導されているらしい。とんでもない教師がいたものだ。
公式などというものは道具にすぎない。それをどう活用するかはその人の勝手だ。この教師は、公式に縛られるような窮屈な人間を育てたいと思っているのだろうか。
こういう話を聞くとちょっとからかってみたくなる。ならば、長方形が斜めに置かれていたらどうするのだろうか。どちらが縦でどちらが横か判定に苦しみ、一歩も前に進めなくなる教師を想像すると楽しくなる。
そのほかに、台形の面積を求める場合でも、
(6+4)×3÷2=15
とかいたらバツになるという。
台形の面積を求める公式は
台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2
なので、( )の中を 6+4 ではなく、4+6 と書かなければならない、というのだ。あきれてものも言えないとは、このことだ。
小学生に評判が悪い規則には、「筆算をするときに引く線はすべて定規を使って書く」というものもあった。そういうことを言いながら、大量の計算ドリルをやらせるのである。子供たちにとっては、たまったものではないだろう。
さらにあきれたのは、×や÷の書き順を指定して、そう書かなければ怒られる、という話だ。どういう順番だか忘れたが、×は右上からの線と左上からの線のどちらを先に書くかが決まっているという。÷にしても点を先に打つか、棒を先に引くか、決まっているのだそうだ。
耳を疑ったのだが、そんな指導をしている小学校の教師が実際にいるらしい。