厚生労働省によれば、児童虐待の通報で児童相談所が動いたケースは2020年1月からの半年間で9万8000件余りに上り、過去最多のペースとなっている。コロナ禍で居場所がなくなり、家出したり虐待されたりする十代も増えたという。特に女性は、性を売る仕事に流れやすい。望まない妊娠を防ぎ、心身を守る支援が必要だ。メイドカフェや萌え産業の多い東京・秋葉原近くに、一般社団法人「若草プロジェクト」が開いた「まちなか保健室」を訪ねた。

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必要に迫られLINE相談→シェルター→保健室

JRお茶の水駅から少し歩くと、通り添いに小さなオフィス「まちなか保健室」がある。筆者が訪ねた日は、相談スタッフが数名いた。午後には、カウンセラーに相談する少女がやってきた。カウンセラーはDV被害者支援に携わるベテランで、どんな話にも動じない。コロナ禍で予約制だが、話をしたり、アロマや占いのイベントに参加したり、少女たちが安心して過ごせるようになっている。家庭に居づらく、学校にも相談できない子が多いという。

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運営するのは、瀬戸内寂聴さんや村木厚子さんらが呼びかけ、居場所のない少女や若い女性を救うため2016年に始めた「若草プロジェクト」。当初は、研修やシンポジウム開催を主にしていたが、必要に迫られて、専門家スタッフによるLINE相談を始めた。さらに2018年、虐待などで居場所のない子が住むシェルターハウスを作った。2020年10月までに、シェルターを利用したのはのべ31人。18~19歳が多く、学生もいる。定員は4人で、他に緊急に受け入れるケースもある。担当弁護士がつき、サポートするのが特徴だ。

若草プロジェクト代表で、少女たちに寄り添ってきた弁護士の大谷恭子さんに聞いた。

「シェルターには、15歳ぐらいの子もいます。児童相談所に相談して、上から目線の対応を受け、嫌な思いをしてきたのです。彼女たちは、就労するか、進学するかという人生の分かれ目にあり、若い子ほど困難な状況にある。お金はないけれど、勉強は続けたいと言う。

長い子は1年もいて、シェルターを出て行く先がない。シェルターの受け入れは慎重にしていて、大人数は入れないため、このたび保健室を開きました。学校なら、不調があれば保健室に行きますよね。専門家と相談できて、楽しいイベントもあって、気軽に立ち寄れる保健室のような場になったらいいなと」

「若草プロジェクト」代表理事の大谷恭子さん 撮影/なかのかおり