日ロ首脳会談『大失敗』を報じた朝日新聞と北海道新聞の「大きな違い」

外務省の『大本営発表』に踊らされた大メディア
佐藤 優 プロフィール

 このような発言しかメドべージェフ大統領から引き出せなかった今回の日露首脳会談は、日本側から見れば、完全に失敗だ。

 この失敗を外務官僚は、< 菅総理就任後、初めての首脳会談であり、両首脳間の信頼関係に基づく本格的な対話を行っていくための良いスタートとなった >(日本外務省HP)ことがポイントなどという笑止千万の大本営発表で誤魔化そうとしている。

 問題は、日本のマスメディアが外務官僚の大本営発表を鵜呑みにしていることだ。27日16時25分のasahi.comにアップされた以下の報道を見て、筆者は驚いた。

< 領土問題の進展「首脳級で協議」 日ロ会談で確認

【トロント(カナダ)=西山公隆】菅直人首相は26日午前(日本時間27日未明)、G8サミットの開催地カナダ・トロント近郊のムスコカで、ロシアのメドベージェフ大統領と会談した。北方領土問題については首脳レベルで協議を重ねて前進を図る方針を確認したにとどまり、具体的な進展は得られなかった。

 首相は会談で、ロシアを「連携を強化すべきアジアの隣国だ」と位置づけて、「領土問題を含めた日ロ関係を前進させる条件が以前よりも整ってきた。首脳レベルで前進を図りたい」と呼びかけた。大統領は「領土問題は両国でもっとも難しいが、解決できない問題ではない。

 建設的な解決策を模索したい」と応じた。ただ、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)までに首脳会談を重ねて打開を図るという鳩山由紀夫前首相の狙いは、いったん振り出しに戻った。

 G8の首脳宣言が、韓国哨戒艦沈没事件を非難したことに関連して、大統領は「北朝鮮の問題は複雑な問題を生じかねず、注意深く見守っていくべきだ」と述べた。 >

 9月のヤロスラブリ訪問が確認されなかったことの意味がまったく記されていない。更にこの記事を書いた記者は、ヤロスラブリの日露首脳会談で鳩山前首相が北方領土問題に関する「腹案」をもっていたことに気づいていない。

 そもそも、恐らく外務官僚が準備した発言案をそのまま読んだのであろう「領土問題を含めた日ロ関係を前進させる条件が以前よりも整ってきた」という菅首相の発言が、実態に合致しているのかどうかという批判的視座がこの記事を書いた記者にはまったくない。

 少し厳しい言い方になるが、自分の頭で考えずに、官僚が流してきた情報をそのまま文字にしている。

 もっとも翌28日の朝日新聞朝刊に掲載された記事はより短く次のようになっている。

< 領土協議の継続を確認 日ロ首脳

【トロント=西山公隆】菅直人首相は26日午前(日本時間27日未明)、トロント近郊のムスコカで、ロシアのメドベージェフ大統領と会談した。北方領土問題については首脳レベルで協議を重ねて前進を図る方針を確認したにとどまり、具体的な進展は得られなかった。 >