トランプの大失態…じつは「中国経済の台頭」を強力に後押ししていた…!

強硬にやった結果がこれだ
加谷 珪一 プロフィール

加えて言うと、輸出がカードになるのなら、輸出とセットになる通貨もカードとして活用できる。

多くの人は、モノ作りと金融は正反対のビジネスと思っており、モノ作りを実業、金融を虚業などと呼ぶことすらある。だが、こうした主張は経済やビジネスの現場を知らない人の、ある種の妄想といってよい。実はモノ作りと金融は切っても切れない関係にあり、金融市場が整備されていないと、そもそもモノ作りができないというのが現実である。

米国のように基軸通貨を持つ国は別だが、それ以外の国が貿易を行う場合、取引は原則として外貨(今の時代はドル)がベースになる。製品を製造するためには、原材料や部品を輸入する必要があるが、そのためにはまずは外貨を用意しなければならない(日本円による支払いで商品を売ってくれる国はほとんどない)。グローバルな金融マーケットに自由にアクセスし、ドルを安価に調達できないと、そもそもモノ作りを始められないのだ。

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伝家の宝刀は抜いたら終わり

太平洋戦争中の日本は極度の物資不足で生産もままならず、無残な敗北を喫したが、その原因のひとつは外貨だった。日本は当時の基軸通貨ポンドを持つ英国に加えて、新興国として強大な勢力となりつつあった米国の両方を敵に回してしまった。日本はグローバルな金融市場から完全に締め出され、日本と取引してくれる国からしか物資を輸入することができない。いくら大東亜共栄圏と勇ましく叫んだところで、物資がなければ戦争継続が不可能なのは自明の理である。

この点において今の中国は、当時の日本と同様、極めて不利な状況にある。

人民元はグローバルな金融市場ではまったく流通しておらず、中国は米国に輸出して得た貴重なドルを有効活用しなければならない。逆に言えば、ドル経済圏から締め出されてしまえば中国はおしまいだった。中国にとってグローバルな金融市場から締め出される事は何より恐ろしいことだったと言って良いだろう。