「動かしつづける。自分を。未来を。 The Future Isn’t Waiting. | Nike」より

話題のナイキ広告で噴出…日本を覆う「否認するレイシズム」の正体

訴求力をもったことは何を意味するか

「わたしって、ナニモノ?」

NIKEの広告が話題だ。

NIKEが2020年11月27日に公開した2分間の映像には、サッカーをする3名のアスリートが登場する。いずれも、学校に通う女子生徒でもある。それぞれにサッカーに打ち込む姿が映し出されるのだが、その行方を阻む日常の人種主義(everyday racism)を含む困難と、それに対する抵抗のありようと連帯の契機が映し出されている。

以下では、特にレイシズムとの関連から広告の内容に注目する。

彼女たちは、それぞれに困難を抱えた日常生活を送る。チマ・チョゴリ制服を着て街を歩くときにうつむかねばならない。トイレでほかの女子生徒から束ねた髪をおざなりに触られる。集団に囲まれてカバンを引っ張られ、プリントが散乱し、駆け出さざるをえないのは、いじめに直面する、おそらく「日本人」の女子生徒である。それぞれの困難が交互に映し出されていく。

だからこそ、ある女子生徒はスマホで「現代の在日問題を考察する」と題した連載コラムを読み、また別の生徒は反レイシズムを明確に掲げながら活躍を続けるプロテニスプレーヤー・大坂なおみさんの動画を眺める。

 

だが、オンライン空間はエンパワメントの契機をもたらすと同時に、中傷にさらされるリスクを上昇させる空間でもある。

先ほどの大坂なおみさんの動画に貼りつく「彼女はアメリカ人? 日本人?」という一方的にアイデンティティを問いかける心無いコメントは、それを眺める10代のアスリートにも容赦なく突き刺さる。「日本人」と思われる女性の何気ないTikTokの投稿には、中傷のコメントが現れる。

「日本人」の女性の困難と交錯しつつ、人種的マジョリティがマイノリティを周縁化(社会の成員として受け容れない)し、問題化(劣った存在として貶める)する日常の人種主義のプロセスが描かれるなかで、印象的な「語り」が次々に現れる。

「ときどき考えるんだ
わたしって、ナニモノ?
できることなんてあるの?
わたし、期待外れなのかな
普通じゃないのかな
このままでいいのかな
ぜんぶ無視できたらいいのに。
わたし、浮いてる?
もっと馴染んだほうがいいのかな?
ここにいちゃダメなの?
みんなに好かれなきゃ
我慢しなきゃ
気にしないフリ、しなきゃ。」